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シキ 屍鬼 しき >>関連項目一覧


「屍鬼」は日本語で、屍(しかばね)を喰らう魔物をさす言葉のようだ。辞書などでは扱われていない。 簡単な中国語辞典にも、この語はみられない。しかし、インドの鬼神ヴェーターラの漢訳語に「屍鬼」があるので 屍に取り付く鬼神、魔物、ということであるようだ。

現代のファンタジー作品などでは「グール」というアンデッド(不死、生きている死体)のモンスターをさしたりするが、 グールの意味するところも、屍鬼の使い方としても間違っているといえる。グールはジンであり、屍にとりつく、屍を食べることは民話 ではみられない。

ほか民話伝承の訳において、インドやチベットの魔物に対して、この「屍鬼」が使われることがある。 梶濱亮俊氏の論文「チベットの屍鬼の説話」ではロォトゥンというチベットの魔物を紹介している。 インドのヴェターラが伝わったものだという。ロォトゥンは魔物または死体であるというから死体の意味の「屍」 の訳はあっている。

日本で屍を喰らう鬼、というイメージがあるとすれば、飢饉の際、飢えのあまり人間の死体を食べる悲劇が伝えらるものか。 ともかく、日本語文献でどのように使われているか調べる必要がある。

現代では、この語を用いた作品「屍鬼」(小野不由美-小説/漫画 作画:藤崎竜 2010年アニメ化)、「屍鬼の血族」(東 雅夫)、 「ディストーション―屍鬼の女王」(岡田 圭介/森沢 晴行)などがある。
「ジョジョの奇妙な冒険」では食屍鬼街(オウガーストリート ロンドンという設定)という語がでてくる。

参考資料
・大辞泉(JapanKnowledge)
・日本大百科全書(小学館)
・屍鬼二十五話(ソーマデーヴァ:著 上村勝彦:訳 平凡社)
・チベットの屍鬼の説話(梶濱亮俊:著)


 
関連項目一覧
日本 【文化地域項目】
ヴェーターラ 【インド、仏教:屍鬼、鬼神】
グール 【イスラム:アラブ:ジン】

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