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オートマタ Automata (西洋からくり人形 自動人形)

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ヨーロッパの伝承、または16世紀以降の機械式の人形、自動人形、西洋からくり人形。ロボットと 訳されることも。
「オートマタautomata」はオートメーション、オートマチックの語源となっている オートマトンautomatonの複数形。

語源はラテン語、ギリシャ語のautomatos。autos(自身) + matos(考える、生き生きした、自発的な)。

美術品などの分野では、オートマタを18-19世紀のヨーロッパで時計技師等によってつくられた オルゴール仕掛けなどを もった機械人形のことをいう。

オートマタの機械仕掛けの起源は、ヘレニズム時代以前(紀元前)にまでさかのぼると考えられ、 具体的には古代ギリシアのヘロン の技術がある。
ヘロンは、祭壇の上に火がともされると神殿の扉が自動的に開く装置や、鋳貨を入れると自動的に水が出る 「聖水箱」、 芝居を演じられる自動的な劇場など様々なな自動装置を発明したという。
(ギリシャ神話中にも自動で動く椅子などが登場する)

その後、イスラム世界に、ギリシアの学問や科学を取り入れられ技術面でも発達し、各種時計やからくり人形、 給水盤などを載せた書物が残された。

中世以降のヨーロッパはアラビア(イスラム圏)を経由して、ギリシアの学問を再び取り入れた。
発明時期はさだかではないが、現存する最古の機械時計は1364年に つくられたものとされる。
14世紀にはイタリアを中心にヨーロッパ各地の教会、市庁舎、公会堂などに塔時計が出現し、 それらの時計には時間になると機械仕掛けの「自動人形」が踊ったり、鐘を打つなどの装置が施される ものがあった。 現在でもミュンヘンや、またプラハには15世紀以来の天文時計(オルロイ)が自動人形の仕掛けをみせる。
なおイタリア・ルネサンスの最盛期に登場したレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた手稿に 蒸気を利用した火吹き人形や自動的に肉を焼く串回し機など、多くの自動装置があった。

18世紀にはフランスの発明家ボーカンソンが劇場用の自動楽器や自動人形で人気を博したようだ。 21世紀では、日本を中心に二足歩行のできる 人型ロボットが開発されている。

中国や日本にも、自動人形・機械人形・からくり人形があるが別の項目を設ける。
人形には元々魔術的な意味合いがあるのだが、この手の自動人形には、その意味合いが薄いようだ。

神話伝承にはギリシャのタロスや、ユダヤの ゴーレムといった 半機械・魔術的自動人形というべきものがみられる。

参考資料
・世界大百科事典(平凡社)
・日本大百科全書(小学館)
・大辞泉(JapanKnowledge)

 

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ヨーロッパ (文化地域)
ニンギョウ(人形) (日本:物品、呪物)

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