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タングリスニル Tanngrisnir >>関連項目一覧


北欧、ゲルマンの神話・伝承の牡山羊。巨大な天界の山羊。名前の意味は「歯ぎしりする者」(「歯の生えた食用家畜の子」 「間に隙間がある歯をした者」…誤訳か?)。
神話において、この山羊はもう1匹のタングニョーストとともに、トール(ソール)の車(または戦車)を引く。この車が大地や 天空を走ると山々は砕け、大地は火を噴いて燃え上がるとも。

また、この魔法の山羊たちは、食べられても皮と骨を魔槌ミョッルニルで浄めると生き返る。
「晩方にソールは自分の牡山羊たちをとらえて両方とも屠った。その後二頭は皮をはがされ、鍋に入れられた。それから煮あがると 、ソールと供の者が夕食をはじめた。(中略)彼は夜明け前間近に起きて身支度をし、槌のミョッルニルを手にとって 振り上げ、山羊の皮を浄めた。すると山羊たちは起ちあがった」(ギュルヴィの惑わし44章)

ただし骨を傷つけると、治らない。 物語では一夜泊めてもらった農夫の家で屠って食べた時農夫の息子シャールヴィが骨を割って髄をしゃぶったせいで、蘇生後、 片脚がびっこを引くようになっていた。
山羊の名前自体はスノッリの「ギュルヴィの惑わし(ギュルヴィのたぶらかし)」に出てくる。

トールが山羊と関係が深いことは「オクソール」(ギュルヴィの惑わし)「牡山羊たちの使い手」(御館頌歌3)「牡山羊たちの主人」 (ヒュミルの歌31)などの名前に明らかである。

古ノルド語リジreiðは「動物が引く車」と「雷」の意味があり、ソールは「フロールリジ」(轟きつつ雷鳴る者)の別称もある。 この山羊の引く車は、ソール(トール)の雷神と、豊穣の神格の表れとしてふさわしいといえる。

参考資料
・北欧神話 (菅原邦城:著 東京書籍)
・世界の怪物・神獣事典 (キャロル・ローズ:著 原書房)
・Truth In Fantasy VI 虚空の神々 (健部伸明と怪兵隊:著 新紀元社)

 
関連項目一覧
北欧、ゲルマン 【文化地域項目】
タングニョースト 【ゲルマン、北欧:山羊】
動物 【北欧、ゲルマン】
トール(ソール) 【ゲルマン、北欧:雷神】

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