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アリアドネ Ariadne Αριαδνη

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古代ヘレネス(ギリシャ)の神話の女性。クレタ(クレーテー)島のミノス王と 太陽の娘パシパエーの娘。長女。 美しい。
英雄テセウスに糸玉を渡し、迷宮ラビュリントスでのミノタウロス退治を助けた。 「アリアドネの糸 Ariadne's thread」という言葉が知られる。 (問題解決の鍵)

テセウスにひとめぼれして、剣と糸毬を渡して手助けした。 テセウスとクレタ島をあとにするが、ナクソス島(あるいはディアー島)におきざりにされる。 あるいは乳母といっしょだった。深い眠りにおちていた、または死んでいた。  テセウスが彼女を捨てたのは、飽きたとかアテナの命令だった等という。

女神アプロディーテが哀れに思いディオニソスを送った。旅路の途中のディオニュソスになぐさめられた。または蘇生させた (ディオニソスはセメレーの子で冥界と関わりある)。 後に二人は結婚し、アリアドネは輝く宝石の冠(のちの かんむり座)を贈られた。 この冠は元々女神アプロディーテのものをディオニソスが持っていた。

アリアドネーは島によっては崇拝されていた。 もとはアリアグネー「聖なる」「清き」の意味。最高度の聖(ハグネー)。 元来は冥界の女神の名で多くの島で崇拝されていた。 恋敵の姉妹にパイドラー(かがやける女)、アイグレー(明るい女)などがいる。
ディオニソスと天にのぼった後はアリデーラー(遠く見える女)と呼ばれた。
アリデーラーの名にケレーニィの注ではHsch. Heschius Lexicographus ヘーシュキオス辞典編纂者 とある。呉茂一氏の『ギリシア神話』上巻でも この5世紀の辞典編纂者ヘーシュキオスの記録によると、アリアグネーは「いとも聖 (とう)とき(女、女神)」の義なのだと書いている。

別の物語では、テセウスとの結婚では祝われなかったとか、 テセウスの夢にディオニソスが現れ自分の妻だと言ったとか、 すでにクレタでディオニソスが妻にしていて、贈られた宝石の冠をテセウスに渡し、糸でなくその光 で迷宮を照らし突破したという。

もともと迷宮でなく中点からもどってこれる螺旋構造だったとも。 輝く冠でもどってこれるようにし罰せられた。キュプロス島に彼女の墓だとされるものがある。 アリアドネは兄弟殺しの罪人(ミノタウロスは兄弟)。

キュプロス島ではアプロディテ・アリアドネとして崇拝。妊娠の最中、子供産むことなく死んだという。 しかし彼女のお祭りでは男性が陣痛の模倣するという。

アリアドネの黄金の冠は、天に掛けられた。 アリアドネは最後は神と共にその車にのって空に駆けのぼった。 アリアドネ、アリデーラーの2つの名は南部の島で呼ばれていた女神の名だという。

(2017/01/03更新)

参考資料
ギリシアの神話 (神々の時代) (カール・ケレーニィ:著 植田兼義:訳 中公文庫)
ギリシア神話〉 (呉茂一:著 新潮文庫)
ギリシア・ローマ神話 (ブルフィンチ) (岩波文庫)
ギリシア神話小事典 (現代教養文庫)
故事名言由来・ことわざ総解説 (自由国民社)

 
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ヘレネス[ギリシャ] (文化地域)
女神 (大項目)

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