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マンティコラ(マンティコア) Mantichora >>関連項目一覧


ヨーロッパの伝承の魔物、怪物。マルティコラスMarthichorasとも。ファンタジー物ではマンティコアとも。

プリニウスの博物誌(第8巻陸棲動物の性質 30)では 「クテシアスの記すところでは、この同じ国(エティオピア)には彼がマンティコラと呼ぶ 動物が生まれるが、これは櫛の歯のように噛み合う三列の歯並びがあり、顔と耳は人間のようで、 目は灰色、色は血のように赤く、体躯はライオンのようで、サソリのように尻尾で刺す。声はパン の笛とトランペットが混ざったよう、脚は非常に速く、人間がことのほか好物である」と、ある。 「エティオピアではマンティコラも人間の言葉をまねるという」(第8巻 45)とも。

ホルへ・ルイス・ボルヘスの幻獣辞典では、プリニウスの博物誌に 「アルタクセルクセス・ムネモンの医師ツェシアスによれば」とあるが、いくつか異本があるのだろうか。 以下の内容はほぼ同じである。 「エチオピア人の間に彼がマンティコアと呼ぶ動物がいる。 歯が三列に並び、それが櫛の歯のようにかみあい、 人間の顔と耳をもち、目は群青、身体は血の色をし、獅子の姿をし、尾の先端はサソリの ようにトゲになっている。声は笛とラッパをあわせたような音。途方もなくすばしこく 人間の肉が大の好物である」と伝わっているという。

紀元前BC4世紀頃のアリストテレスは「インドに棲む怪獣で、上下の顎にそれぞれ三列の歯 が並び、人面でライオン位の大きさで毛深く目は灰色で身体は赤い。サソリの尾を持ち 針がある。声は笛とトランペットを合わせたような声。アカシカにまけないほど速く走り、 人を襲って食う」 と、クテシアスの言葉を紹介している。インドに棲むというあたり、クテシアスの言葉の典拠に異本があるか エティオピアとインドが混同される地理感覚であったか。ただし、中世ヨーロッパの伝承になると 虎人間とされていてインドに合っている。

フローベール(Gustave Flaubert 1821/12/12〜1880/5/8)は『聖アントワーヌの誘惑』で 「マルティコラス、 人間の顔をし、歯が三列に並んだ巨大な赤い獅子」と書き、尾の針が四方八方に矢のように 広がって飛ぶ描写をしている。

参考資料
幻獣辞典
世界の怪物・神獣事典 (キャロル・ローズ著 原書房)


 
関連項目一覧
ヨーロッパ 【文化地域項目】
マンコモリオン 【ヨーロッパ:怪物:虎】

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