幻想世界神話辞典 文化地域別大項目リンク集掲示板辞典TOP

チュクチの神話・民話 >>関連項目一覧


チュクチ シベリア地域の先住民族。ロシアのチュコト自治区で居住している。1994年の資料では人口1万6000人だという。チュコト自治区には他にユッピック民族(アジアのイヌイット)も住んでいる。

モルジャー(セイウチ)が生活の上で重要な位置を占め、かつては肉を冬の保存食、骨で生活用具、皮で衣類、テント作った。またバイダーラというモルジャーの皮をはった手漕ぎ舟を作った。また、「ガイコツの家」というアーチ型の鯨のガイコツを円錐形に組み立て骨組にし、アザラシの皮をはった夏用の住居もあった。しかし近代では全部ソフホーズへ納め、養殖ギンギツネの餌になっていたという。家は木造になり、舟も動力付となった。

チュクチではあらゆる自然物に精霊が宿ると考える。人間が道具を粗末にすると、道具が人間の意志に従わなくなると考えた。狩りに出る時、岸辺や山で行った儀式が、ソヴィエト時代にはシャーマニズム的だと批判をうけ、家の中でやるようになった。今でもツンドラで食事する時は必ず食べ物をツンドラの精にばらまく。海の精に対する儀式で、飲料水をコップに汲み、半分飲んで、残りを獲ったばかりのモルジャーの頭を洗うのに使い、海に捨てる。最近は若者がモルジャー祭り、冬の太陽をたたえる「太陽の祭り」行う。

「上の世界」へのぼった死者は生きている人間より多くのことを知っていると考え、死者から読み取った「答え」はとても尊重された。

葬儀では、遺体の首に革ひもを結び、埋葬の場所、解剖をするか遺体に聞く。ひも引っ張って頭が重ければ否定、軽ければ賛成の意なのだという。遺体の復活を防ぐため、解剖して腸と手足の動脈を切断する。切断役にはだいたい老人が選ばれるという。ツンドラ(凍土)の丘の、よく乾燥した岩の多い斜面に昔の墓地があり、儀式に使ったモルジャーやトナカイの骨が散らばっている。1960年代くらいまでは、石の輪の中に遺体をおいて風葬していたが、今はロシア式に棺にいれ石でおおう。

チュクチの昔話によく出てくる語りおさめの慣用句で「私は風を殺した」というものがあり、悪天候が続き、猟のできない時、一軒の家に集まって物語ることで風を静める手段にしていたのだという。人食いケレの物語が好んで語られたいう。

チュクチ、コリャークはテングダケを麻薬、麻酔剤として服用する知識があったという。

 

関連項目一覧
ケレ 【シベリア:チュクチ:魔物】

●このページのトップへ●


(C) Copyright Masahiro Aibara