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ウィシュプーシュ Wishpoosh >>関連項目一覧


北アメリカ先住民、ワシントン州のネズ・パース民族の伝承。ビーバーの魔物、怪物。 漁を禁じ、湖へ人間がくると大きな鉤爪で釣り人をとらえて水底へ引きずり込んだ。

ネズパース人々は、トリックスター神(文化英雄)、コヨーテに助けを求めた。 コヨーテは取っ手つきの槍を亜麻製ひもで腕につけ、さかなとりに湖へむかった。

戦いになり、ウィシュプーシュはコヨーテの槍で傷を負わされた。 両者の激しい戦いに、湖を囲む山々は後ずさりし、下流へ流され逃げようとするビーバーの魔物と逃がさないように 槍をしっかり突き刺し追うコヨーテに、川は押し広げられ、山腹は引き裂かれ、大きな地割れができたという。

太平洋岸に着き、コヨーテが一休みすると、ウィシュプーシュは波間に飛び込み、 鯨を捕まえて食べ、活力を回復した。

疲労していたコヨーテだが、機知と変身の力を使って戦った。 樅(もみ)の木に変身し、流れていき、そうとは知らない魔物は飲み込んでしまった。 ビーバーの腹の中で元の姿に戻り、鋭いナイフで心臓めがけて切りつけ、怪物が死ぬまでメッタ切りにした。

死んだウィシュプーシュの巨大な体から、コヨーテは新しい民族を創造した。 北西部の森・海岸に住むチヌーク人、クリッキタット人、ヤキマ人、ネズ・パース人である。
急いで造ったため、眼や口をつけるのを忘れ、後で気づいて間違いを直したが、ナイフの切れ味が鈍っていたため、 ナイフでつけた口が曲がったり大きくなったりしてしまった。
自分たちの神話で、自分たちの「みっともない口の形」として自虐的な由来説話を語っているようだ。



なお、ビーバー beaver(英語:語源的には古ゲルマン語 茶色 の意味から)は 日本ではなじみがうすいが、ヨーロッパ・北アメリカに分布する、げっし目の哺乳類。 川や湖に棲んでいて、かじった木や石でダムを築き、堰きとめた池の中央に安全な巣を作る。

参考文献
世界神話辞典

 
関連項目一覧
アメリカ先住民族 【文化地域項目】

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