幻想世界神話辞典 〜
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グプ >>関連項目一覧ポェパ(チベット)の、ボン教の伝承にでてくる。グプは魔術か魔術的につくられた「ツォ(爆弾)」の一種。 グプは、金一銭を7日間成就して射つと王を殺すことができる、とボン教の賢者キェルプンが言ったもの。 これはボン教外護のシャンシュン王がチベット王に殺されたのでシャンシュン王の正室が賢者に頼みごとをした物語の一部。 賢者キェルプンはタロク湖そばにテントを張り、九重の錦の敷物に坐し、7日間成就した。 *古代インドでは祭壇等に数日黙して坐し、行を成就する儀式があったようで、「成就」とはこのような坐業のことか? ちなみに「ツォ」は字義通りは「混合飲料」といった意味だが、ボン教専門用語としては「爆弾」と訳されるものだという。 グプ以外に、金一両を3年間成就した「プ」はチベットの国土を風で吹き飛ばすことができるという。 また金半両を3ヶ月間成就した「キュン」を射てば、ヤルルンのソクカ(・プンモ山?)をティソン・デツェン王の一党もろとも滅ぼせるという。 こうして金一銭をグプとし、三分の一ずつにわけ、夕暮れ時にひとつ投じると ヤルシャムポの麓の湖に命中し、湖が干上がり龍が逃げた。(ヤルルンの水なし湖由来) 真夜中にまたひとつを投じるとソクカ・プンモ山に眠っていた7頭の鹿に命中し、2頭が死に、5頭は硬直した。(固まった鹿の山、の由来) 最後の三分の一を夜明けに夜明けに投じると、チンワの「虎の峰」の館に命中し、ティソン・デツェン王が病に倒れた。 チベット王もこの爆弾を受けたことで賢者が怒っていることがわかり、野ヤクの角いっぱいの砂金を持たせた使者を だし謝罪いた。 ボン教弾圧に関して賠償等の4つの誓いを立てる条件で、賢者は王のもとへ行き、病気の 進行を翻転する儀式を行った。 王の九竅(きょう)(両目・両耳・鼻孔・口・陰部・肛門)から 縮れた絹糸のような金の糸を取り出した。ちょうど金一銭の3分の1ほどの量だったという。 歴史的な状況とあわせると7-9世紀頃の時代のことをいった物語らしい。 物語からうける印象ではドイツの「魔弾」を想起させる(こちらは銀製か)。 黄金の魔弾の射手といったところか。古くから「ひとりでに飛んでいき命中する武器」 は槍やハンマーなど投擲する道具としても世界の多くの神話に登場している。 参考資料 ・ チベット文化史 (D・スネルグローヴ:著) 関連項目一覧
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