中国の伝承の霊獣、仙獣、聖獣。または鹿に似た実在の動物。頭は鹿、脚は牛、尾はろば、頭はラクダに似た
「麈」(シュ? 大きな鹿)の俗称。二義的には「なんともつかぬもの」のことをいう。
中国語では四不象子sibuxiangziとも。4つの「似て、それにあらず」を持つゆえに「四不象」という。四不相とも。
不象、不像は「似ていない」の意味。
4つの部位、「似ているもの」は、異論・異説がある。
・麟頭(麒麟)、豺尾(ジャッカル,山犬)、竜体
・蹄似牛非牛 頭似馬非馬 角似鹿非鹿 身似驢非驢
(蹄は牛に似て牛にあらず... 角:鹿 体:ロバ 頭:馬)
最も有名なものは小説「封神演義」にでてくるものであろうか。空を駆け、人語を解するという。
元始天尊の乗騎であったが太公望(姜子牙)に封神を行うよう命令したとき与えた。
実在の動物としては、偶蹄(ぐうてい)目シカ科の哺乳類。
大形のシカで枝分かれした角をもつ。尾の先に長毛(房毛)がある。野生種は明らかではないが、
北京の南苑(清朝皇帝の庭園)に飼われていたものは20世紀初頭に洪水や「義和団の乱」などのため絶滅したらしい。
その前の1865年にフランスの司祭アルマン・ダヴィッドが知り、ヨーロッパに紹介。英名はペアー・ダヴィッド・ディアー。
そしてイギリス公爵ベッドフォードの庭園に運ばれたものが繁殖して今も残る。今、世界各地にいるものはこの子孫である。
日本には清朝政府から1888年宮内省に贈られたがこの個体は明治年間に死亡。現在、多摩動物公園で繁殖しているのは
バーゼル動物公園から昭和39年[1964]に送られてきたもの。
参考文献・出典
・封神演義大全 (実吉達郎:著 講談社)
・現代中日辞典 増訂版(光生館)
・大辞泉 (JapanKnowledge)
他
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