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グノーシス[主義][派] gnosis >>関連項目一覧「グノーシス」はギリシア語で「知識」「認識」の意味。用語としては「グノーシス」を冠して呼ばれる宗教思想の学派や考え方をさす。 大半がキリスト教の学派だがそうでないものもあるという。 1-3世紀頃、ローマ,ギリシャ,ユダヤ文化圏で広く行われたキリスト教的主知主義の一派であるグノーシス派の説く 「最高完全の知識」「神智」(霊的知識,神秘的直観,霊知,覚知)。極端な霊肉二元論。 グノーシス主義Gnosticismとは、宗教学・宗教史的に、グノーシスによって救済を得る宗教思想をいう。 西暦2世紀頃のグノーシス諸派が練り上げた思想。 グノーシス(知識)が救済に至る道であり、それは上界から肉体の牢獄へと降り下ってきた光の粒子である人間の魂にのみあてはまる教義 だという。 人間がその本来的自己を現実世界においては非本来的なもの(身体、国家、宇宙、とりわけ人間の運命を支配する星辰)によって 疎外されているという反宇宙的二元論の立場から、宇宙を超える至高神と人間の本来的自己との本質的同一性の「認識」を 救済(神との合一)とみなす宗教思想というよくわからないものである。 概略的には、現実を非本来的なものとし、この宇宙自体が悪的創造をされたものであり、その外にいる宇宙を超える至高神と、 人間の本来の善的なものを認識することが救済になるようだ。 「物質世界は悪、霊的世界は善」で、物質世界の創造者(デミウルゴス)は 真の神の敵対者だとする。 ただ「グノーシス派の教師の数だけ贖罪の体系がある」と西暦180年頃の人物リヨンのエイレナイオスIrenaeus of Lyons は言っている。多様性があるということらしい。 「グノーシス派」はグノーシス(知識,認識)によって救済を得ると信じる既存諸宗教(とくにキリスト教)の分派といえる。 本来は「グノーシス」を偽称したために、初期キリスト教教父たちにより彼らが属する正統教会(初期カトリシズム) から排除された異端思想の一つの呼称であったが、 近代以降、キリスト教と直接的関係がない 同種の思想的特徴をもつ諸宗教思想(へルメス文書,ナグ・ハマディ文書の一部, マンダ教[マンダヤ教],マニ教)にも 適用されるようになっている。 非キリスト教グノーシス派の存在は、ヘルメス文書や、とりわけナグ・ハマディ文書に よって確認されつつあるという。 西暦紀元前後当時のグノーシスは、ローマ帝国の圧制下にあった属州(サマリア、シリア、エジプト、イラン[ペルシア])の 有産知識人層を基盤として成立し、当時の民間宗教の魔術、呪術などを取り入れ、密儀宗教、 ゾロアスター教、ユダヤ教、キリスト教の分派として、2-4世紀にローマ帝国のほぼ全域に広がり、グノーシス派または グノーシス宗教を形成した。後に(ローマ帝国主義に接近した)キリスト教の攻撃によって次第に消滅していった。 エルワージの「邪視」(THE EVIL EYE)の中ではグノーシスの魔術的なものがいくつか載っている。 日と月はグノーシスの二大神だといっている。 グノーシス(主義)は、その教義のため、教団組織への 帰属を救済の条件としなかった。そして既存の諸宗教の内部で、既存の宗教のテキスト をグノーシスの反宇宙的二元論(物質世界は悪、霊的世界は善)の立場から解釈し直して、グノーシス神話をつくりだし、 既存の諸宗教のなかで多くの分派をなした。 グノーシス派 ・「父祖」(シモンとその派) ・ヴァレンティヌス派(ウァレンティノス派) (正統派に遠くない立場にあったという) ・カルポクラテスCarpocrates (140年頃の人物で彼の信奉者は財産、妻の共有を実行した放蕩で型破りな一派) ・バシリデス派 ・ナハシ派(ナハシュ派) (名前はヘブライ語で蛇の意味。蛇は知恵の具現化。ナグ・ハマディ文書の一部の起源はナハシ派) ・オフィス派 (オフィスはギリシア語でヘビの意味) ・パルベロ派 ・セツ派 (キリスト教とは無関係にユダヤ教の周辺で成立したと想定) 参考資料 ・涼宮ハルヒの驚愕 (谷川流:著 角川文庫) ・世界宗教事典 (青土社) ・邪視(THE EVIL EYE) (エルワージ著 リブロポート) ・日本大百科全書 (執筆者:荒井献 小学館) -原始キリスト教とグノーシス主義 (荒井献:著 岩波書店 1971) -隠されたイエス――トマスによる福音書 (荒井献:著 講談社 1984) -グノーシスと古代宇宙論 (柴田有:著 勁草書 1982) ・大辞泉 (JapanKnowledge) ・ランダムハウス英和大辞典 (ジャパンナレッジ) ・世界文学大事典 (ジャパンナレッジ) ・日本国語大辞典 (ジャパンナレッジ) ・大辞林 (三省堂) 関連項目一覧
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