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ガウェイン Gawain,Walawanus,Gauvain,Gawein,Gwalchmei,Walewein >>関連項目一覧

円卓の騎士の一人。アーサー王の甥。アーサーの異父姉モルゴースとロージアンとオークニーの王ロトの長男。4人の弟ガヘリス、ガレス、アグラヴェインがいる。

聖者に授かった特性で朝から正午の3時間、力が3倍になる。あるいは、朝9時から12時の3時間と午後3時から夕暮までの間は力が倍になるという。

盾に五茫星の紋章を描いていたので「マリアの騎士」と呼ばれた。エクスキャリバーの本当の所有者であるともいう。アーサー王の婚礼の日、王から円卓の騎士に叙任された。

騎士となって最初に白い牡鹿を連れ戻るようにいわれ、追って行く途中一人の騎士と戦いになり、頭を割る一撃を与えて倒す。さらに追って行き、ある城の中で鹿を斬り殺す。すると抜剣したアブラモーという騎士がガウェインの2匹の両犬を斬り殺し、「その鹿は主君の貴婦人から頂いたものだ」と言って戦うが、力尽きて命乞いする。ガウェインは容赦せず斬首しようとするが、突然、騎士の恋人が駆け寄り、誤って斬首してしまう。ガウェインは美しい婦人の死にショックを受け、騎士の命を助け、共に王の宮廷に向かう。

道中、一夜の宿を借りた城で4人の騎士に襲われ、腕に矢傷で重傷を負う。王の甥であることわかり貴婦人たちのとりなしで釈放されるが、騎士たちは殺した婦人の頭を首にかけ、体を馬のたてがみに乗せてキャメロットまで行くことを要求した。

王と王妃は事情を聞いて怒り、王妃の命で審問にかけられ裁かれた。そして言い渡された通り、一人の婦人のために戦い、敵が別の婦人のために戦っている場合をのぞき決して貴婦人には背かないと聖書にかけて誓った。

その後、王がこの世の者とは思えない醜い婦人に、若い立派な騎士の夫を探す約束をし、相手をどうするか悩んでいた時、「お前は私の甥なのだから、あの婦人はひどすぎる」と言うのを押し切って結婚した。どうかしていると陰口を叩かれるのも我慢したが式の後、祝宴も開かれず二人きりになると溜息をついた。

婦人に問われ、素直に「年と醜さと生まれの卑しさが理由だ」という。婦人は「年齢のあるものは分別があり、醜ければ奪われる心配もなし、生まれの上下で気品は左右されない」といった。ガウェインが振り替えると金髪で白い肌の美しい婦人が微笑んでいた。実は呪いのため醜い姿になり2つのことがおきるまで解けないという。若く優れた騎士を夫にするという条件で半分だけ解けた。半日だけこの姿だけれども昼と夜どちらがいいか聞かれ、ガウェインは夜というが婦人は昼のほうがいいと言う。素直に婦人の望むほうを選ぶことにすると2つめの条件がそろい呪いが解けた。またこの婦人の名はラグネル姫といって呪いが解けた後7年間だけ妻でいられるといって、幸せな日々を過ごした後、ガウェインの元を去り、死んだとも、ウェールズの深森の中でガウェインの息子を生んだという話もある。

パーシヴァルとアーサー王が初めて出会った時、行き違いから争いになったが、ガウェインが物腰低くていねいに話かけ、両者は礼儀正しい挨拶を交わし、王に会わせた。

聖杯探索の時、ガラハッドが白い楯を手に入れた修道院で僧侶に話を聞き、「彼を探して冒険をともにしよう」というと「あの方とは行動を共にできないでしょう。あの方は天の恵みがあるがあなたは罪が深い。」自分に資格がないことを知る。罪を償う方法を聞くと僧侶は苦行をすべきだというが「冒険が仕事の我々騎士はいつも苦しい事、悲しいことにあっているから必要ない」と言うと僧侶は口を閉ざす。更に旅を続けエクター卿に会い、幾月も冒険に恵まれないことを嘆く。

ある時荒れた礼拝堂に泊まった時不思議な夢を見て、夢解きのため山の隠者の庵を訪ねる途中で円卓の騎士ユーウィンとそれとは知らずに戦い、重傷を負わせ殺してしまう。手厚く葬った後、隠者に夢の意味を聞くと「牧場の150頭の牛は円卓の騎士、殆ど黒牛なのは罪に穢れた者で、2頭の白牛は純潔無垢のガラハッドとパーシヴァル。黒斑の白牛はボース。もっと良い牧場を探そうと出たり戻ったりしている黒牛は罪の懺悔を行わず聖杯探求に行く騎士で、謙遜と忍耐の牧場に入れず荒地に行くがそれは死を意味する」と。

冒険にあわない理由を尋ねると「聖杯は罪ある人の前には現れないため」と。人を斬る罪を犯した騎士たちは聖杯を見る資格がないとも。ラーンスロットが罪を犯しながらも旅の途中で罪を悔い苦行を行い、人も傷つけていないので彼なりに目的を達することができる等、話を聞き、ガウェインは旅の間も罪を犯している自分に、旅は無駄だと見限って帰った。

異父兄弟のアグラヴェインとモードレッドがラーンスロットに対する憎悪から王妃との仲を王に讒言し仲違いさせる策略をしかけ、王妃の天幕の外で待ち伏せして襲ったが返り討ちに会い、ガウェインは弟アグラヴェイン、息子のフローレンスとロヴェルを殺されたが、策略に反対して戦うことを止めていたすえの事に憎んではいなかった。しかし処刑される王妃を助けるためにラーンスロットが無防備で護衛していた弟のガヘリスとガレスが殺しことを知ると「ラーンスロットを尊敬していた2人を彼が殺すとは。復讐する!」と激怒。アーサー王と共に王妃とラーンスロットの立てこもる城を包囲、この時ライオネルを一騎打ちで倒す。

その後アーサーとラーンスロットは和睦し、ガウェインに親族を殺めたことを悔い、その霊を慰めるため下着のまま歩いてサンドウィッチからカーライルまで10マイルごとに教会を建てて祈るので戦いだけはやめて欲しいと言った。王も他の人々も涙したがガウェインは赦さず、王妃を引き渡したのち宮廷を出て行くようにいう。

その後、ベンウィック(フランス)に渡ったラーンスロットをアーサー王とガウェインは軍勢を引き連れ攻め込んだ。戦いをやめる申し出にもガウェインが反対し、一騎打ちの申し出し、出てきた騎士ボースを槍で落馬させ、半年間そんな戦いを続け、ラーンスロットを反逆者呼ばわりして出てこざるを得なくし、その一騎打ちは一撃でお互いの馬が耐えられず、2人は地上に落ちて剣で戦った。ガウェインは3倍の力で戦うがラーンスロットに楯でかわされ時間をかせがれて、昼になり効果がきれた瞬間、兜へ渾身の一撃を受け倒れた。とどめをささず立ち去るラーンスロットにガウェインは卑怯者といって勝負を続けようとするが「倒れた騎士を撃つような卑怯なまねは絶対しない」といわれる。

3週間かけて馬に乗れるまで回復すると再び勝負を挑むが同じように1ヶ月の重傷を負う。王はガウェインの傷のことなどで悩みがつのり病に倒れる。

モードレッドが王は重傷、ガウェインが戦死したというニセ手紙を作り王になったという報せをうけ、急ぎ帰国するが港にまちうけたモードレッド軍と激しい戦闘になる。王の活躍で敵を退け上陸するがガウェインはラーンスロットからうけた古傷の上を打たれ瀕死で船中に横たわる。「今まで彼がいたからこそ敵もおとなしくしていたのだ。彼を呼び寄せ、どの騎士よりも大切にしてください」と言って、謝罪と王の救援の要請をする手紙を、一部は傷から流れた血で書き綴り、息絶える。

ガウェイン卿の死にさいしラーンスロットは「この世に生をうけた、いとも気高き騎士であった」と称えたという。彼の遺体はドーヴァ城内の礼拝堂に葬られ、その頭蓋骨にラーンスロットに受けた傷跡がはっきりわかると15世紀の記録にあるという。

 

関連項目一覧
ブリテン(イギリス) 【文化地域項目】
ケルト 【文化地域項目】

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