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ミスラ Mithra >>関連項目一覧


ミトラとも。イラン神話の神。神格については、ザラドゥシュト(ゾロアスター)教以前と以後、あるいはローマ時代のもの、インド神話にとりこまれたものなど複雑である。

元は契約と友情の神であり、イランでは真実の守護者で、アフラ・マズダと結びつけられることが多かったという。光、太陽の神格を持ち、太陽が昇るときの、太陽に先立つ光であるとも、4頭の白馬にひかれた黄金の戦車として表現される太陽に乗る者としても表現された。あるいは太陽そのものであり、光と闇の変転をもたらすものとの関連付けがあったようで、アフラ・マズダとアングラ・マイニュを結びつけるものとされていた。後のザラドゥシュト教の広まった後は転落していったようだ。

光、太陽の神格を持つミスラの、全てを見透かす凝視からは何ものも隠れることができなかったといい、また1万の眼と耳があり、力と知恵の両方を兼ね備え、戦いでは武勇を響かせていたという。軍神としての神格もあったようで、その武器は必殺の矢、巨大な槌矛、不治の病、そして猪ウルスラグナであったという。崇拝する者には知恵を与え、敵に対する勝利の恩恵があり、敵には容赦がなかったという。

また、ナイフと松明を持った姿で岩の中から出てきて誕生したとも言われ、ミスラが雄牛のゲウシュ・ウルヴァンを殺している場面の浮き彫りがおかれたミスラの社は、地下につくられた。ゲウシュ・ウルヴァンの死骸から、あらゆる植物、動物が生じてきたのだという。雄牛などの生け贄が捧げられ五穀豊穣が祈られていた。このミスラは豊穣の神格であったようで、雨を降らせ、植物を成長させる神だった。

紀元前1世紀頃、ローマ帝国の勢力が西アジアまで広がったときに、ミスラはヘレネス・ローマの神話体系に、ミスラ神として吸収・同化され、紀元前4世紀には人気の高いカルト信仰の対象となった。

 

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