幻想世界神話辞典 〜
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タイ、ラオの精霊、悪霊に類する超自然的存在の総称。 タイにおいて仏教やヒンドゥー教が入る前からの伝統的観念だと言われる。善なるピーと悪しきピーが存在し、供物や踊りを奉納することで悪しきピーの活動を抑え善なるピーの助力を願う。祖霊、土地神、自然物のピー、悪霊の4つに分けて考えられる。 ラオ民族でも同様に善いピーのピー・ディー、悪いピーのピー・ハーイがいると考える。家々では祠を祭り、家や村に幸運を呼ぶ守護神を呼び込む。悪いピーには攻撃的で悪戯好きな男のプート・ピー、女のピー・サートがいる。 悪いピーは不自然な死に方、自殺、溺死、疫病、原因不明の死に方などをした者にはピー・ハーイがついていると恐れながら埋葬する。 以下はタイのピーの詳細。 [祖霊のピー] 祖先の霊は一定期間この世の周辺に留まり子孫の安寧と福祉を守っている。祖霊はピー・バンパルット、またはピー・プーヤーターヤーイと総称され、子孫によって日常的に祀られている。仏教化の進んだ中部タイではタンブン仏教などのやり方で行われる。例えば経文やプラ・パリットを誦唱している僧の手からのびたサーイ・シン(聖糸)の一端を祖先の骨壷にまきつけることによってブン(善徳)を祖霊に移送している。この力によって祖霊は幸福な再生をすることができると考えられている。北部タイでは仏教的傾向は弱く母系的な組織の祭祀集団が祖霊をまつる祠に鶏や豚を供えて霊をなぐさめる。 [土地神のピー] 土地神としてのピーは、自然物のピーが特定の場所の主とされたものであるらしい。 タイでは各戸にサーン・プラプームと呼ばれる小さな祠柱があり、屋敷の主、サーン・プラプーム・チャオ・ティを祀っている。また殆どの地域で年祭は廃れているが各村落ごとに土地の守護神チャオ・ティの祠がある。都市の守護神はチャオ・ラック・ムアンと呼ばれ、かつては戦争、天災、疫病等の社会的危機にあたっては、この守護神の祭祀が行われた。(チャオは神の意) [自然物のピー] 自然物のピーは、自然界の殆どあらゆる物の背後に、ピーが存在していると考えられている。これらの精霊が特定の場所や物の主になるとチャオと呼ばれる。 以下は中立的なピーで人間の守護をしたり、供養を行い慎重に取り扱えば危害はない。 ピー・ナム(水のピー) ピー・パー(森のピー) ナーン・ターニー(バナナのピー) ナーン・マイ(樹木のピー) [悪霊のピー] ピーの中には人間に対し攻撃的に危害を加えてくる者もいる。事故、疫病、産褥などによって異常死した霊は祖霊にならず、再生もできず、いつまでもこの世にとどまり危害を及ぼすと考えられていた。 ○異常な死に方をした人の悪霊 事故、疫病、産褥などによって異常死した霊は祖霊にならず、再生もできず、いつまでもこの世にとどまり危害を及ぼすと考えられていた。 ピー・ハー(コレラの悪霊) ピー・プライ(産褥死をした人のピー) ○異常な欲望を持つピー ピー・カスー ピー・ポープ ○異常な形の悪霊 ピー・ゴーンゴーイ ピー・ラン・グルオン ○動物の形の悪霊 ピー・ポーンカーン ほかに、夜中、水のあるところに鬼火としてあらわれるピー(旅人の行く手を迷わせる)などがいる。 これらを撃退するのにはサンガの提供するプラ・パリットやモー・ピー(呪医)、コン・ソン(依代)に頼る。 タイでは生まれたばかりの子どもはピーの子ども(ピーが自分に似せてかたどった粘土が母親の胎内に入ることによって懐妊すると考えられていた)だとする民間信仰があり生まれて3日目まではピーの子どもで4日目に初めて人間の子どもになるという。 生まれてすぐ死ぬ子はピーが連れ去ったと考え、そのため子どもに蛙、犬、豚、水牛といったニックネームをつけピーの目をあざむこうとする。ピーの所有を離れた子どもにはクワンと呼ばれる生霊が宿るとされる。 関連項目一覧
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