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サンポ >>関連項目一覧



スオミの叙事詩カレワラに出てくる魔法の臼。望みのものを好きなだけ挽き出せる宝物。(日本でいうなら打ち出の小槌か)

名鍛冶イルマリネンが「サンポをつくった者に美しい娘を与える」という条件でポホヨラの女主人ロウヒに頼まれて作った。

材料は白鳥の羽のさき、子牛を生んだことのない牝牛の乳、一粒の小さなライ麦の種、夏の牝羊の毛。これらを炉の中に入れ、 四方の風を呼び、ふいごを三日三晩吹かせると、彩り美しい模様の浮かび上がった覆いのついているサンポの骨格が出来上がった。 そしてその骨格を槌でたたき鍛え鋳造された。

一方には粉を挽き出す臼が、もう一方には塩を挽き出す臼、またもう一方には貨幣を挽き出す臼がついていた。 ロウヒはこの立派な宝物を誰にも盗まれないように岩盤の丘を九尋の深さに掘った石の城の中の大地につなぎとめた上、 九個の錠前をかけた扉の奥にしまいこんだ。

こうしてサンポはポホヨラの地の下で回転し幸福をつくっていた。後にワイナモイネン、イルマリネン、 レミンカイネン達がサンポを分けてもらうためロウヒを訪ねたが 分けられるものではないと断わられた。ワイナモイネン達は分けてもらえないなら全部もらおうと言って、 ワイナモイネンがカンテレ(楽器)を奏でるとポホヨラの勇士はうとうとと眠りはじめ、さらに彼らの目に眠りの膏薬をすりこみ ポホヨラ全土の人々を深い眠りに陥いれた。その間にサンポを盗み出した。

ミンカイネンの歌った歓びの歌の調子はずれの声を聞いた鶴が金切り声をあげ、 ロウヒは目を覚ましサンポが奪われたことに気づいた。そして神と魔物に助けを求め絶叫した。ロウヒの叫びに応じた魔物等、 様々な障害に遭ったワイナモイネンの舟に、勇士を乗せたロウヒの軍舟が追いすがった。

ワイナモイネンは火口と火打ち石を取り出し湖へ投げつけた。すると岩礁が水面に浮かび上がり、ロウヒの舟は岩礁に 乗り上げて粉々になってしまった。すかさずロウヒは巨大な鷲のような怪鳥に姿を変えポホヨラの勇士達、 百人の剣士と千人の弓士がそれに乗りワイナモイネンを襲った。ワイナモイネンは舟の櫂で怪鳥の爪を打ち、 小指以外の全ての爪を砕き、怪鳥に乗っていたポホヨラの勇士たちは水の中へ落ちていった。

怪鳥は残った小指の爪でサンポを持ち上げたが湖へ転げ落ちて粉々に砕けてしまった。 水の王アハティが欠片を手にし宝にしたので海も湖も豊かになった。 ワイナモイネンは浜辺に打ち上げられたいくらかの破片を集め靄に包まれた岬に埋めた。 そして、これが耕作のはじまり、種蒔きのはじまりと言って創造主に皆が立派な生活をできるようにと祈った。 26

 
関連項目一覧
イルマタル 【スオミ:女神】
スオミ(フィンランド) 【文化地域項目】
ワイナモイネン 【スオミ:英雄】

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