イラン(ペルシャ)の伝承にでてくる鳥。鳳凰と類似した鳥と考えられる。鳥の王(女王)とされ、人語を解し、深い知識と智慧をもつ。
10世紀の叙事詩「シャー・ナーメ(王書)」では、エルブルズ山(テヘラン北方、東西にそびえる山脈。最高峰は5700mのデマーヴァンド山)に棲み、勇者サームの子ザールが捨て子となっているのを、雛のエサにするため拾ってきたが「両目から血の涙を流す幼な子を視」て不思議と愛情を持ち、育てた。
父サームがザールのことを知り、迎えにきた時、別れを悲しむザールに自分の羽根をわたし、「この羽根をもっていれば私の守護のもとにある。何かあった時は羽根を一枚燃やせば私の威力をみるだろう」と言った。
アヴェスタにはmeregho saenoとしてでてくる。また、キルギスの民話にもズィムリクという人語を話す智慧の鳥がでてくる。中央アジア、イラン地域に分布する伝承のようだ。
余談だが、2024年にめずらしくペルシャ神話に題材をとったというパズルADVゲーム『30 Birds』が配信された。さらわれた巨大な鳥「シームルグ」を取り戻すため、30羽の鳥を見つけ出すらしい。
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