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ヒツジ 羊 ひつじ (sheep シープ)

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十二支に割り当てられた獣のひとつ(未 ひつじ)。また12星座ゾディアックにもアリエス牡羊座がある。
羊は世界の多くの地域で飼育される重要な家畜。毛、肉、皮、乳等が利用される。荷役等の労働には用いない。 野生種もいる。
伝統的(自然分布?)にはユーラシア大陸、アジア、アフリカに棲息する。乾燥した気候に適応していて 枯れ草も食べる。湿潤な気候には向かない。
川を渡らせるのにヤギを一頭まぜておきヤギが渡ると羊たちも渡る等、臆病な性質とされる。

ヨーロッパではキリスト教関連の喩えや、ことわざ、ギリシャ神話の黄金羊等がみられる。
西アジア・オリエントの古代文明でも羊が使われた図像がみられ、エジプト神話では羊の姿の神クヌムや 羊頭のスフィンクスなどがみられる。

日本には元来、ヒツジはいない。何度か輸入されたが定着せず、本格的な飼育は明治以降、軍服の毛織物原料のためだった。 後に毛肉兼用種(コリデール)で成功し、肉が余剰になるためジンギスカン焼が考えられたという。

中国では「民に五畜あり」(ウシ・ヒツジ・ブタ・ニワトリ・イヌ)という。 ウマを加えて六畜とも。
西のほうの地域では羊の皮を浮き袋状に使った伝統的なイカダがある。

最古とみられるヒツジ飼いの記録は、マリ遺跡の粘土版記録(ユーフラテス川中流西岸) で、ウル第三王朝の頃、紀元前BC2000年にさかのぼるらしい。

羊が飼育可能な地域での羊の価値はきわめて高い。ヤギは低くみられる。 モンゴルでは羊に関する語彙も多い。今も羊の骨のサイコロ「シャガイ」ある。 (古代ローマにも近似のものがあった アストラガルス)
もちろん英語など牧畜する文化圏では語彙が多い。

羊肉は、マトンやラムなど呼び名がちがう。味も異なる。ラムは子羊肉で柔らかく臭みが少ない。 マトンは2歳以上の成獣の肉で臭みが強い。慣れた人には風味となる。

毛(フリース)については上毛(ケンプ)と下毛(ウール)がある。育種でウールをとれるように改良しtきた。

以下、羊に関する神話伝承、伝説等
・日本
最古の記録、日本書紀推古7年9月「百済、駱駝一匹・驢馬一匹・羊二頭・白雉一隻を貢れり」 ヒツジは語源諸説あり、毛からヒゲウシ、日辻
方言にシツジ(福島)、スツズ(富山)
能楽に「羊」唐土の桂陽国王秘蔵の羊を盗んだ云々という物語
お菓子の羊羹(ようかん)は、元の意味は「ヒツジ肉を煮たもの、あつもの」で、 これにみたてた食べ物である。
江戸時代、平賀源内が羊毛毛織物ラシャの需要を考え羊毛事業を試した(四頭)
幕府?も小石川薬草園で中国からの羊、数十頭をオランダ人のアドバイスで300頭まで増やしたが火災で 死なせてしまった。

・中国
洋酒を携えてお祝いに行く 羊=肉のこと
「羊頭をかかえて狗肉(馬脯ほしにく)を売る」 立派な看板で悪いものを売る
法言 吾子「羊質而虎皮」外面ばかり立派で内容が伴わない

・ヨーロッパ
count sheep (眠れない時に羊を数える)
the (good) shepherd (shepherdは羊飼い)イエス・キリスト
 人間、信徒(ヒツジ)は神(羊飼い)に導かれる存在

March comes in like a lion and goes out like a lamb.(ことわざ)
3月はライオンのようにやってきて子羊のように去っていく

・ギリシャ神話
ゴルヅン・フリース(黄金羊皮)
おひつじ座(アリエス 白羊宮)

・エジプト神話
クヌム神
クリオスフィンクス(羊のスフィンクス)

人里はなれて牧畜する羊飼いやヤギ飼いは伝統的な民話などを伝承している、という。

・イギリス
 コッツウォルズ(地名:「羊の丘」)
 シェイクスピアの父 裕福だったが羊毛の闇市場にからんで失敗

参考資料
・日本大百科全書(小学館)
・大辞泉(JapanKnowledge)

 
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