人間は群れ、集団社会で生活・活動する。 動物でも群れのルール・決まりはある。人間はもっと複雑になって当然だろう。 オリエントのハンムラビ法典、中国の秦、古代ローマ帝国など巨大な国家統治の中で 整ってきた「法」。宗教思想・哲学とも大きく関わる。 刑罰や権利、社会の決め事を述べている点は古代から変わらないだろう。
家の決まりごと、地域の決まりごとから人類共通の「殺すな」「盗むな」など 禁制と罰則、共同体規則はいつの時代もある。十戒や五逆罪など地域や民族が違っても 通じるものもあるが、現代では国家の法律が生活上もっとも身近で日常的だろう。 (しかしながら宗教上の法や慣習が重要なこともある)
漢字の「法 (ファ)」(元の字 灋)の起源は廌(タイ)という獣に触れさせて正邪を決定…という神判的な事に由来。
『説文』によると「灋は刑なり。(中略)直からざる者に触るれば去る」
日本語では法は「のり」(宣る 神言を述べる)「おきて」(設定の意)。
thorah(ヘブライ語) 「教え」の意
dike(ギリシア語) 「慣習」の意
nomos(ギリシア語) 「配分」の意
ius(ラテン語) 「命令」の意
lex レクス (ラテン語 フランス語loi ロワ) 「収集」の意
droit(フランス語 ラテン語directum) 「整序されたもの」の意
Recht レヒト (ドイツ語) 「正義」の意
Gesetz(ドイツ語) 「おかれたもの」の意
law ロウ (英語) 「おかれたもの」の意
закон ザコーン (ロシア語)
カヌーン(アラビア語)
lex, loi, Gesetz, lawが法と「法則」の意味を持ち、ハンス・ケルゼンはアニミズム
において自然万物は個々この魂をもっていて相互に法で結ばれたいたからだ等と述べているらしい。
ius, droit, Rechtには法と「正義」(法は正しいものとの考え)の意味もある。
英語justiceもjusに由来。「ソード オブ ジャスティス the sword of justice」
は「司法権」をいう。
またius, droit, Rechtには法と「権利」の意味もある。
・ハンムラビ法典 紀元前BC1792-1750年頃
この法典はシャマシュ神から王に授けられた、という
刑罰や賠償の行き過ぎない歯止め、立場や価値にふさわしい等価なものにする意図らしい
(目には目を、歯には歯を)
結婚に関する決まりごと、手続きなども
・律令 中国古代~秦(BC771-BC206年)では国制の中心
律は主に刑法、令は行政法、訴訟法他
なお始皇帝 政は方士に「2回以上の方術を兼ねてはならない」「効験無き者は死罪」と
後に漢の劉邦は漢中一番乗りした時、秦の悪政を改め「法は三章だけ」とした
・古代ローマ法 紀元前BC8世紀~AD10世紀
ローマ法(市民法) 契約の自由・個人主義・所有権の絶対性
万民法ius gentium 帝国全体に適用 合理性
法務官法ius praetorium 具体的妥当性の尊重
・サリカ法典 6世紀初頭 フランク王国
・十七条憲法(いつくしきのりと-) 推古天皇12年(604年)
仏・法・僧の三宝をうやまうことなど
・大宝律令 大宝1年(701年) 日本
唐の律令を参考に制定。律6巻、令11巻
・シャリーア イスラム法
おそらく1000年以上前から用いられている。コーランとスンナをもとにする法。
刑法、民法、訴訟法、行政法、国際法あらゆるものに及ぶ。
・マグナ カルタ 1215年 イギリス
王の権限の制限を確認
・御成敗式目 鎌倉時代 1232年 日本
・武家諸法度 江戸時代 日本
禁中並公家諸法度、諸宗本山諸法度など多くの法度(禁制)で幕府を護った。
生類憐令、異国船打払令など都度布告の「令」もあった。
参考資料
・
日本大百科全書 (CDーROM)
・
日本国語大辞典
・
幻想世界11ヵ国語ネーミング辞典
・古代オリエント集
・史記 (横山光輝)
他
関連項目一覧
神判 ()
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary