幻想世界神話辞典 〜
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大工の息子 >>関連項目一覧 (西アジア・アフガニスタン) サリムという男がいた。大工の父が亡くなり、母子で貧しい暮らしをしていた。 母は、夫の大工道具を売って僅かな金に変え、息子のサリムに持たせ、商売に行かせた。 サリムはバザールへ行き、猫を売っている男に会って、猫を一匹買ってきた。家に帰ると、母に怒られた。 サリムの母は、今度は夫の靴を売って、金を息子に持たせた。サリムは犬を一匹買ってきた。また母の怒られた。 母は、古い敷物を売ったお金をサリムに渡した。サリムは頭に派手な冠をかぶった蛇を買ってきた。母は激怒した。 「そんな蛇、打ち殺してしまえ!」と母に言われ、サリムが蛇を石で打ち殺そうとすると、蛇が人の言葉を喋った。 「私は蛇の王の息子で、父の宮殿まで連れていってくれれば、お礼をする」と言った。 サリムは蛇を宮殿に連れて行くことにした。 道中、蛇がサリムに、「父に、口の中のルビーが欲しい、と頼めばいい」と助言した。他のものをもらってはダメだという。 なぜなら、父の宝の中で、最も大きく、最も輝いていて、どんな望みも叶えるルビーだからだといった。 宮殿につくと、サリムは蛇の言う通りにした。蛇の王子も一緒に頼んだので、蛇の王はサリムにルビーを与えた。 サリムはルビーのおかげで、食べ物から着物、立派な家まで手に入れた。 ある時、王の娘に心を奪われたサリムは、母に結婚できないかと頼んだが、 大工の息子だと断られた。 その時、王は、冗談のつもりで「金と銀のレンガの宮殿を建ててくれたら王女を嫁にやろう」と言った。サリムはルビーの力でその通りの宮殿をつくった。 そうしてサリムは王女と結婚した。 ある日、一人の老婆が身寄りがなくて困っているというので、優しいサリムは一緒に暮らそうといった。ところがこの老婆は悪い魔女でサリムのルビーを狙って近づいたのだ。 魔女は王女をそそのかして、ルビーを手に入れさせておいて、今度は自分が、夜中にこっそり奪ってしまった。魔女は、サリムの妻も母も遠くの村に追い払い、宮殿も消えてしまうという願いをした。 サリムは全てを失って、側にいるのは犬と猫だけだった。 サリムはルビーを探すが、見つかるわけもなく、疲れ果ててしまった 。 猫と犬は、主人のために、とルビーを探しに旅立った。 途中でネズミの王の結婚式にでくわすと、猫は花婿のネズミを捕まえ、魔法のルビーを見つけなければ返さないと脅した。ネズミたちはルビーを探し、魔女の家の魔女の口の中にあるのを見つけ出した。歯の間からルビーの赤い光がこぼれていた。 ネズミは、しっぽの先にかぎタバコの粉をつけ、魔女の鼻先で振ってくしゃみをさせ、飛び出たルビーをとって逃げ出した。 猫たちは、ネズミの王子を解放して、ルビーを受け取り、帰途についた。途中に大きな川があり、犬は猫をのせ、猫がルビーを口にくわえて川を渡った。 猫が途中で魚に気をとられ、口を思わずあけてしまい、ルビーを落としてしまった。魚がルビーを飲み込んで、波間に消えていった。 犬は猫をせめたが、どうしようもなかった。犬と猫は川岸で、くる日もくる日も、どうしたらいいか考え込んだ。 ある日、猫が、漁師がとった魚を見て、ルビーを飲み込んだ魚だときづいて、魚の腹を裂いてルビーを取り出し、今度は犬がくわえて、主人のサリムのもとへ向かった。 ルビーが戻り、弱っていたサリムも元気になって、ルビーの力で全て元通りにした。妻と母から、魔女のせいで苦しんだことを聞いたサリムは、家来に魔女をつれてこさせ、「鞭か馬か」どっちがいいか問うた。 魔女が馬だと答えたので、馬のしっぽを魔女にゆわえつけ、馬を走らせて追い払い、皆は幸せに暮らした。 関連項目一覧
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