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ケイロケン 径路剣 けいろけん (アキナケス acinaces)

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匈奴(きょうど)の武器、剣。祭祀にも関係した。
匈奴は東アジアの歴史で最初の強大な遊牧民族。当時の中国王朝「漢」にとって脅威だった。
「匈奴・漢」という体制を主張する学者もいるようだ。
径路剣はスキタイやペルシャ(イラン)でアキナケスといわれた剣と同形。
「径路」は匈奴の語の音写でakinakesのkinakだろうという。
アキナケスはギリシャ語でアケナケースで、アケメネス朝ペルシャについて記したクセノフォンの 「アナパシス」にみられるという。 またBC1世紀のローマの歴史家クルウィウス・ルフスの『アレクサンドロス大王の歴史』で ペルシアのメディア人が生み出した武器とある。

考古学的な遺物や中国側の文献の記録などで、スキタイ、トルコ系遊牧民族との共通性が指摘される。 またモンゴルでは匈奴(フン・ヌー)から文化の伝承があるという。

径路剣については、漢の将軍李広利を犠牲にして捧げた兵神(軍神)の神体となっていたという。
スキタイにおける軍神の祭祀と似たような、捕虜の犠牲をともなう剣の祭祀が行われていたようだ。

匈奴は呪詛を非常におそれ、シャーマンを用い、病気などの原因を死者の呪詛などと恐れ、 犠牲を神に捧げたようだ。

また匈奴の盟約の仕方もスキタイに似ているという。盟約者は酒に自分の血をしたたらせ、 径路刀や銅の匙(さじ) でかきまぜ、たがいに飲んで盟約した。

径路剣(アキナケス) 内蒙古帰綏地方出土  
 
 
 

参考資料
騎馬民族国家 (江上波夫:著)
武器事典 (市川定春:著)

 

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