ロシアの英雄叙事詩にでてくる勇士。イリヤ・ムウロメツと共に、キーエフ公に仕える。
天竺(インド)の「呪われたる」ガリーツィア国の名高いヴォルィニの町の公子。 超ド級の金持ち。「呪われたる」のアダ名は「魔法の国」インドととしての認識からなのだろうか。
デュークは、豊かな、インドの名高いヴォルィニの町を旅立つ時、自分の家のことを自慢しないよう、 母ナスターシア・ワシーリエヴナに忠告された。
公のもとへ向かう途中、チュリーラに偽者扱いされ、母国のことを以下のように語った。
すいかずらの木を敷き詰め、手摺りは白銀、道には深紅の絨毯、衣装に埃もつかない、
パンをこねる桶は白銀、たがは黄金。かまどの箒は、絹の布。酒樽は白銀、銅の鎖にさげる。
チュリーラが、「自分の富を鼻にかけるな」と言って、3年の間、勇士に相応しい駿馬と
衣装を毎日変えて、前に着たものは2度は着ないで、どちらが続けられるか、賭けをを
しようともちかけた。
デュークは、こちらは衣装を取り寄せなければならないのに大きな賭けを望むのだな、と受けて立つ。
デュークは、チュルケス渡りの鞍をつけた馬で、母国に使いを出した。
勇士ドゥナイは、デュークの衣装の見事さにチュリーラは賭けに敗れたといった。
母なるチュリーラの次の挑戦は、駿馬を駆って、ドニエプル川を飛び越えようというものだった。
デュークは愛馬にあんな賭けなどのれるかと言う。すると、馬は人の言葉で「賭けにのられませ。
手前はかりそめの翼をひろげて飛んで見せます。私の兄弟たちに負けないように」と言った。
この馬の兄弟は、長兄がはイリヤーの乗騎。次兄はドブルィニャの、三男がこの馬、
チュリーラの馬が四男だった。
デュークの愛馬は、ひととびで1ヴェルスタを飛び、ドニエプルを飛んだ。 そしてとべずに落ちて溺れるチュリーラを助けた。
公はデュークの富の鑑定人にドゥナイ、ワシーリィ・カジミーロヴィチ、アリョーシャを遣わした。
デュークの国へ着くと、女中の立派さに、デュークの母君と勘違いする始末だった。
そして、馬具を書き出して値踏みする作業を始めたが、3年3ヶ月経っても終わらなかった。
別の穴蔵の富も数え尽くせず、チェルニーラ公に、「キーエフの都を売って、
紋章入りの紙とインクを大量に買わないと、デュークの富を書き尽くせない」と報告した。
この物語は80以上のテクストが知られる人気のあるブィリーナで、ビザンツの文字作品
「豊かな国インド」などが伝わって、そこからガリツィア・ヴォルイニ公国が作られた、
とも言われている。
参考資料
・
ロシア英雄叙事詩ブィリーナ
他
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