アメリカ、ヨーロッパ、キリスト教での、またはキリスト教とは無関係でも行われるお祭り、
イベントとしての
クリスマスの前夜、子供たちに贈り物を届けるという白ひげの伝説上の老人。
サンタ・クロースはニコラウスの名前がオランダ語なまりで
発音したもの。セント・ニコラウスがシンタ・クラースSinterklaasと呼ばれていた。
北米に移住したオランダ人たちから伝わり、クリスマスに贈り物をする習慣と結びついた。
ニコラウスが子供に気前がよかったという伝説と北欧の伝説にでてくる、
良い子にプレゼントを贈る魔法使いの話がひとつになりアメリカで大衆の間に普及したものが
世界に広まったという。1890年の絵本には赤い服、白ひげのSANTA=CLAUSが描かれている。
(フィンランドでは小人の霊トントゥがプレゼントを配る)
クリスマスにプレゼントを贈るというのもサトゥルヌス祭、冬至の祭りなどが原型としてあり、 キリスト教では異教的といわれながら結局、受け入れられた習慣。
サンタクロースはもともとは「ミラのニコラウス」という守護聖人。
ミラ(ミュラ 現在のトルコ南西部のムグラ)の司教で4世紀の人物だということしか知られていない。
伝説では三人の少女に金の入った袋を3つ与えて売春しなくてもすむよう助けた、また濡れ衣を
着せられた男を
死刑から救った、三人の漁師が溺れているところを救った、肉屋に殺されて桶に隠されていた
三人の少年を蘇らせた
という。
ミラに埋葬されていたがトルコ人に破壊されたのをイタリア人の熱心な信者の騎士がバーリーに
聖骨を持ち帰ったという。
これらの伝説から子供の守護聖人とされニコラウスの祝日(12月6日)に子供たちにプレゼント
を渡す
伝統行事はベルギー、オランダ、ルクセンブルクで長く行われてきた。
オランダではサンタはスペインからやってくる設定で「黒いピート」という弟子、従者をつれている。
悪い子はこの黒いピートにスペインに連れ去られてしまうという。
半分、なまはげ的な戒めがあるようだが、プレゼントも悪い子には石炭を入れる伝統があった
(現在では石炭に似せた菓子を入れるらしい)。
(日本でも少し悪い子Ver.も取り入れるべきか)
ドイツでは12月6日にクリスト・キントという幼子イエスをあらわした者が子供にプレゼント
を配る。このクリスト・キントは若い女性、少女が選ばれ光栄なことだという。
ある意味キリストの女子化だろうか。ロシア圏の聖ルチア祭に似る気もする。
現代では、キリスト教の文化基盤がなくとも、冬、年末の商業イベントとしてクリスマスは
広く世界に浸透しているといっていいようだ。
日本では1960年代頃から一般的になったようである。(明治、大正でもあるにはあったようだが)
サンタの存在も商業的に非常に価値があり、フィンランドなど北極圏の国は積極的に観光に
利用している。国認定サンタがいるほどである。
「サンタがくる(いる)と信じていた」という幼児期の共通の幻想世界、ファンタジーは
一種ほほえましくもある。
この現代的な設定では南半球のオーストラリアでは、そりのトナカイは赤道で乗り捨てて
、白いカンガルーが代りをするという設定がある。
こういうものもほほえましい。
参考資料
・
クリスマス小事典 (現代教養文庫)
他
関連項目一覧
クリスマス (祭礼)
キリスト教 (文化地域)
トントゥ(トンティ) (フィンランド:小人,家霊)
ルキア(ルシア) (スウェーデン:祭:女神)
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary