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ソード sword >>関連項目一覧


ヨーロッパ、英語圏の文化伝承、歴史における武器。剣。ソードは両刃で刀身はまっすぐの直剣。長さは様々である。古英語sweord
語源はゲルマン祖語*の「swerdan」([肉体的な]痛み to hurt)、「swertha-」は「鋭利な、斬る武器 the cutting weapon」 「swer-」は「切る to cut」の意味である。日本語の「太刀 たち(断ち)」と同じような感覚であろうか。
日本の刀剣でもそうだが、ヨーロッパのソードでも、剣身に彫られる言葉や模様は神や信仰に 関連するものがみられる。
「ソード」に関する表現をみると非常におもしろい。

辞書的には、 第一義はもちろん「剣、刀、剣に似たもの」
二義的に「武力・権威などの象徴の剣」(the 〜)
例えば「ソード オブ ジャスティス the sword of justice」
字義通りなら「正義の剣」だが「司法権」のことである。

また「死[破壊]の原因となるもの、戦争、虐殺、暴力、軍事力」を意味する言葉でもある。
文化的に重要な表現である。
「kill 殺す、 slaughter 虐殺」の意味は14c世紀頃から記録がみられるようだ。
「cross swords (クロスソーズ)」
 …と剣を交える、渡り合う、決闘する、言い争う(with ...)

「be at swords' points」
 ひどく仲が悪い、敵対している
「at the point of the sword / at sword point」
 暴力で脅して
※剣の切っ先のことをポイントpointという

「draw a [the, one's] sword」 (…に対して)剣を抜く、戦いを始める。(…を)攻撃する(against, at ...)


その他
『新約聖書』の有名な言葉[マタイ書26:52]
「They that live by the sword shall perish by the sword.」
(剣によって生きる者は剣によって滅ぶ)

コート ソード a court [a dress] sword
礼服用の剣

ソード・プレイ sword play(剣の舞)

Swordと同じ語源の語
swerd Old Saxon, Old Frisian
sver Old Norse
sva"rd Swedish
swaert Middle Dutch
zwaard Dutch
swert ld High German
Schwert German
sweran Old High German


なおスペード(剣)はイタリア語やスペイン語のスパーダSpada「剣、幅広い刃」は ラテン語spatha「幅広い、平らな武器」ギリシア語のspatha「仏炎苞(棒状の、花を包み込む苞[つと])」「幅広い刃」 が語源でソードとは関係ない。

プレイングカード(トランプ)の4つのマークのひとつは剣、ソード(スペード)である。



*ゲルマン祖語 Proto-Germanic
インド・ヨーロッパ祖語から分化した言語の一つで、 ゲルマン語派の英語、ドイツ語、オランダ語、デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語、アイスランド語などの祖先の言語(祖語)。

ソードの種類 包丁、山刀、小刀やナイフなどの生活用具の刃物と違い、剣は「人殺し専用」の武器である。
もともと軍事用の兵器といえる。もちろん時代によって護身用のものなどもあるが基本は軍隊などで使うものである。
RPGなどのゲームで知られるような「〜ソード」というようなものにも歴史的な背景があるのであげる。


ロング・ソード
1050-1350年頃 西ヨーロッパ
長さ80-90cm 重さ1.4-1.6kg
剣の身幅3-5cm。肉厚なのは鋼鉄がなく焼入れ法で作られたため。しかし表面の硬化しかできないので 打ち合うたび皮膜がはがれ強度が落ち、折れ曲がってしまうので幅広の剣身。 鋼が用いられた以後
1350-1550年頃 西ヨーロッパ
長さ80-110cm 重さ1.5-2.56kg
鍛冶技術の進歩、鋼を使うことえ強度が増し、比較して細身にかわっていった。馬上の騎士たちの扱いやすさのためでもある。 斬るより突く用途に変わった。

バスタード・ソード bastard sword
15-16世紀 西ヨーロッパ
長さ115-140cm 重さ2.5-3.0kg
斬ることも突くこともできる剣。斬るときは片手、突くときは両手で持てるよう柄が長い。1422年の ベリーンツゥーナの戦いで最初に用いられたという。 当時、斬る剣はゲルマン系、突く剣はラテン系とされていて両方なのでこの名がついたと推測されるらしい。
※bastardは(荷鞍[間に合わせのベッド]で生まれた素性のしれない赤子)の意。非嫡出子。雑種。

ブロード・ソード
17-18世紀 西ヨーロッパ
長さ70-80cm 重さ1.4-1.6kg
打ち切り用の剣。軍事用重剣。 この時代、刺突用途の細身の剣が全盛だったので「幅広の剣」とされたが中世以前の剣と比較して すごい幅広なわけではない。歩兵以外に騎兵にも用いられナポレオンの活躍した19世紀初頭でも多くの騎兵が装備。

ショート・ソード
長さ110-150cm 重さ2.2-3.5kg


ハンド・アンド・ハーフ・ソード
13-17世紀 西ヨーロッパ(特にドイツ、スイス)
片手剣だが、握りが指2、3本分長く造られている。剣をやや重めにしバランスをとりやすくした。

ピロー・ソード
17-20世紀 西ヨーロッパ
長さ60-70cm 重さ0.5-0.6kg
枕(pillow)の下などベッドに隠し持った護身用の短剣。ガードは省かれ棒状のキヨンだけ。宝石などの装飾。



余談だが、2012年の日本では「ソードアート・オンライン」、2013年では 「キュアソード」(ドキドキ・プリキュア)などがサブカル界で話題になった「ソード」である。
2012-2013年にまたがる「バトルスピリッツ ソードアイズ」もある。

参考資料
武器事典 (市川定春:著)
・ONLINE ETYMOLOGY DICTIONARY
・日本大百科全書 (執筆者: 小学館)
・eプログレッシブ英和中辞典 (JapanKnowledge)



 
関連項目一覧
武器 【大項目】
ヨーロッパ 【文化地域項目】
カード(トランプ) 【ゲーム,道具】

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