グレイルとも。キリスト教の伝説に出てくる。最後の晩餐の時の器であり、十字架に磔にされたイエスがわき腹を刺された時、流れ出た血をうけたエメラルドの器でもある。 Graalはオック語のgradal(現在のgrazal)に由来する。
またSaintGraal、聖なるグラアルの元の形、中世の文献にでてくるsangrealという語はSangReal王の血の意味も考えられるという。
アリマタヤのヨセフがブリテン(イギリス)に持ってきたという。アリマタヤのヨセフは キリストを埋葬した人物で、またイギリスのグラストンベリーにキリスト教を広めた人物。
聖杯はのちに失われたというが、アーサー王伝説では円卓の騎士たちが聖杯を探索した。
この聖杯伝説にはケルト神話の大釜を想起させる部分があり、キリスト教会側が不安を持つ部分もあるようだ。 大釜の魔力には死者を蘇らせるもの、魔女ケーリッド・ウェンの使う3滴の霊感を準備するためのもの等があるという。
グラアルとおいう語は1185年頃のクレチアン・ド・トロワ(1135〜85年頃)の著述「ペルスヴァルまたは聖杯の物語」に、 普通名詞として初めてでてくるという。ここでは器であったが、クレチアンの続編作家は平皿や杯として、 他1210年頃の「パルチヴァール」では宝石などになっている場合もある。
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