日本の歴史伝承上の楽器。鼓(つづみ)。源義経が静御前にあたえたという。千年生きた狐の皮で作られ、
太陽に向かって打てば雨を降らせる。
「初音」は元々は、ウグイスなどの鳥獣や虫類がその年はじめて鳴く声をいう。
この鼓の名は、雨が降った時に人々の歓声が起こったことに由来。
歌舞伎『義経千本桜』では
「桓武天皇の御宇。内裏に雨乞ありし時。此大和国に。千年劫経る牝狐牡狐。二疋の狐
狩出し。其狐の生皮を以て拵経た其鼓。雨の神をいさめの神楽。日に向うて打てば。
鼓は元来波の音。狐は陰の獣故。水を起して降る雨に。民百姓は悦の声を初めて上げしより。
初音の鼓と号け給ふ」とある。
そして義経の朗等、佐野忠信に化身する狐がでてくる。静御前の初音の鼓の皮の子狐が化身し、静を守護する。
「うち見れば 忠信尻に 尾がはへる」
この鼓は狐の皮でできているせいか、ポンと鳴らすと近くの者に狐がついてコンとなくという(落語)
義経、静御前、佐野忠信の物語は、『吾妻鏡』『平治物語』『平家物語』『義経記』 などや、人々によって様々に伝承され歌舞伎や落語の題材にもなっている。
参考文献
・
日本架空伝承人名事典 (平凡社)
・
日本国語大辞典 〔精選版〕 1
・大辞泉(小学館)
他
関連項目一覧
日本 (文化地域)
楽器 (大項目)
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