ほたるまるくにとし。日本の歴史伝承の刀、太刀。九州肥後の国の南朝方の重鎮の将、 阿蘇惟澄(これずみ)[生没?-1364]の遺愛刀。 作刀は鎌倉時代の来国俊(1288-1293正応年間に活躍)。元寇に備えた時代に造られた大太刀。 「永仁五年(1297)三月一日」と銘がある。 刀身は三尺三寸四分五厘(約100.35cm)。
阿蘇惟澄は建部三年(1336)三月、本州で敗退した足利尊氏を九州で迎え撃ったが後がない 尊氏軍に押され敗走した。
愛刀は刃こぼれし、敗残の兵をまとめ居館までたどりつき、眠り休んだ。そして不思議な
夢をみた。
多くの蛍が刀にまとわりつき、明々と光を放って消えた。
目を覚まし、刀を鞘から抜きはらってみると、刃こぼれはなく研ぎあげたかのような刀身に
なっていた。霊験で修復された刀として
「蛍丸」と異名を冠し足利幕府の世以降も続いた阿蘇氏に永く伝えられた。
昭和6年(1961)に国宝指定を受けた。昭和14年の記録では男爵・阿蘇恒丸氏の所有
となっている。しかし終戦の混乱で行方不明になっているという。
余談だが「蛍丸」という名称の武器がゲーム「ファイナルファンタジーXI(FF11)」
に登場している。
さらに関係ないが蛍ホタルはラテン語で「ルシオラ luciora」である。
参考文献
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名刀 その由来と伝説 (牧秀彦:著 光文社)
・
刀剣[カラーブックス175] (小笠原信夫:著 保育社)
・
日本刀 (本間順治:著 岩波新書)
他
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