神話辞典  世界の神話  大項目  50音 

『南総里見八犬伝』(なんそう さとみ はっけんでん)

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略して「八犬伝」ということも多い。著者は、曲亭馬琴(滝沢馬琴)。
伝承というには、時代も新しく、また江戸期の出版物として商業的、娯楽的エンタメ的な作品ではあるものの、神話辞典の項目とした。

「読本」(よみほん)という、絵を主とした草双紙に対して、読むことを主体とした本で、寛延・宝暦(1748〜1764)から文化・文政期(1804〜1830)に江戸を中心に流行し、空想的、伝奇的な要素が強い。再話文学ともいえる。

中國の伝承をモチーフにしたとモわれる犬、八房と伏姫の間の異類婚姻譚。
仁義礼智忠信孝悌の八つの徳の玉を持つ八犬士は、八字文殊八大童子(八字文殊菩薩及八大童子像がある)が由来かとの高田衛氏n解説もある。
八犬士のひとり、犬坂毛野胤智(いぬさかけのたねとも)は、千葉介自胤の家老で忠臣粟飯原胤度(あいはらたねのり)の子。

オリジナルと思われる名刀「村雨丸」がでてくる。(第十九回の内容「煌々たるかな七星の文、照燿(てりかがやき)て三尺の氷寒し。露結び、霜凝て、半輪の月かと疑ひ、邪を退け、妖(よう)を治めて、千載の宝と稱(せう)す。)」
等、紹介し、唐の国の名刀竜泉(りゅうせん)、太阿(たいあ)、日本の名刀抜丸(ぬけまる)、蒔鳩(まきばと)、小烏(こがらす)、鬼丸の名を挙げ「なンどいふとも、是にはまさじと見えたりける」としている。

八犬士がそろっていくところや、かたき討ちの行く末など冒険ファンタジーとして楽しめる内容。江戸時代、歌舞伎の演目になる、現代でも多くの映像作品がつくられた(『里見八犬伝』1983年[出演:真田広之 薬師丸ひろ子 他])など。またモチーフにしたゲーム作品(『魔界八犬伝SHADA』他)なども多い。2024年にも役所広司など出演の映画『八犬伝』が公開された。

参考資料
 ・栗本薫の里見八犬伝 シリーズ古典(8) (2001 講談社)*
*『栗本薫の里見八犬伝』は『少年少女古典文学館22 里見八犬伝』(1993 講談社)をもとに再編集したもの(底本は岩波文庫『南総里見八犬伝』)
・プログレッシブ大辞泉
日本国語大辞典 (小学館) ※資料にしたのは第1版第1刷 

 

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コガラス(小烏)(名刀)
日本 (文化地域)

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