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ノロ 祝女 のろ >>関連項目一覧


沖縄、琉球王朝以来の神職の女性。最高位の聞得大君(きこえおおぎみ)の統率のもと、部落の神人を指揮して神事を司る。 または 南西諸島の各地の集落で、公的祭祀(さいし)を司どる世襲終身の女性神職者のこと。 宮古列島・八重山列島では「つかさ」というようだ。
琉球の伝統的な村落では、男子が行政を、女子が祭祀を分担するのが基本原理である。

『琉球神道記』(1603-1606)の創世神話によると、最初に生まれた人間3人は、それぞれ、地域の領主、のろ、民衆の先祖になったという。

名称は「祈る人と咀う人」の意味で、神託を宣る人の意味か。 または「祈る」意味のヌール(神女)を標準語的に表記したものともいう。

ノロは、首里(しゅり)王府から任命された公職で、のろ地と称する役地が与えらた。 1667年(寛文7)までは御朱印(ごしゅいん)という辞令書も発給された。 (現存最古の物は、喜界島の東間切阿伝(ひがまぎりあでん)の1569年(永禄12)のもの)

1609年(慶長14)以後の薩摩藩支配になった奄美諸島では、制度上、首里王府との関係が切れたが、 多くの村では社会慣習としてその機能が生き続けてきたという。 沖縄諸島でも、廃藩置県後は沖縄県知事の任命を受けたり制度上の変遷があったが、根強く社会的役割を果たしてきた村が多いという。

沖縄諸島では、村の草分けの家を根屋(ねや、ニーヤ)といい、当主が根人(ニーッチュ)として村をまとめ、 その姉妹が根神(ニーガン)として村の祭祀をつかさどるが、根神はノロの支配の下にあった。 (根神は民衆階層、ノロは支配階層)

ノロの公的な住居をのろ殿内(ドゥンチ)と呼ぶ。殿内の主神は火の神。 ノロは父系的な特定の家系から出ることになっている。辞令書でみると、後継者は妹、姪の例もあるが、 子が多く、孫もある。のろは結婚することも許されており、実子が継いだ例も多いようである。 江戸時代には、一族のなかから後継者にふさわしい少女を養子にし、子として後を継がせている例もある。

ノロが首里王府の公職になったのは、中央集権の確立した尚真(しようしん)王時代といわれ、 もとは「大(おお)のろ」という、一般のノロより格式の高いノロがいたようだ。 首里・那覇地方で「大(おお)あむ」と名のったノロは、その名残であろう。

宮古列島と八重山列島には、ノロより上位の大あむと称する女性神役があり、 それぞれの列島内のつかさを統轄した。大あむは首里王府から任命される公職であったが、 つかさは王府の直接の支配を受けず、制度上はノロとは異質だった。

参考文献
日本国語大辞典 〔精選版〕 1
・日本大百科全書 (執筆者: 小学館)

 
関連項目一覧
沖縄[琉球] 【文化地域項目】
キコエオオギミ(聞得大君) 【沖縄:神女】
日本 【文化地域項目】

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