姫路城に伝わる怨霊、女怪。姫路という名、建てられた姫山には女性にまつわるいわれがある。 姫路城を建てる際に、その場所には非業の運命をたどった女性を祀る神社や五輪塔があったという。戦国時代末期、姫路城の城主に3年間なった羽柴秀吉(豊臣秀吉)が神社を壊したという。その高台に三層の天守をつくった。 祈祷師に祈祷をさせているさなか、怨霊があらわれ、祟る旨はなしたという。秀吉は気にしなかったが、その後城主になった木下家定は家宝の名刀(刀工 郷義弘の作)を紛失した、という。
家定が城主だった慶長年間に宮本武蔵が妖怪退治したという逸話があるという。隙がなく妖怪は去ったらしい。夜中をすぎ朝になると「刑部明神」を名乗る十二単の若い美女があらわれ「妖怪は去った。城の守護神として礼をいう」と、箱を置いて消えた。 箱には紛失中の名刀が入っていた。
その後、秀吉の姫路城は壊され、池田輝政が新しく現在の美しい姫路城を造った。この池田輝政も天守で妖怪にでくわしたという。
江戸時代の著作『西鶴諸国ばなし』(井原西鶴)、『今昔画図続百鬼』(鳥山石燕)にもみられる。
『西鶴諸国ばなし』の巻一目録には 「七 狐の四天王」(読み 狐きつね 天王てんわう)の見出し、その下にジャンルなのか「恨み」とあり、次の行は一段下がり見出し斜め下に「播州姫路にありし事」とある。
明治書院対訳版では、注で四天王は「四人の武勇のすぐれた家来」と記されいぇいる。文中で「於佐賀部殿の、四天王、ひとり武者是なり」と名乗る場面がある。(人間の姿から尾のある狐の姿になり去る)
冒頭では、諸国の女の髪を切る女狐で姿は人間のごとくで、808匹(八百八疋)のけんぞく(眷属 一族郎党)を従えているようだ。文中では、女性が坊主頭にされてしまう場面が書かれている。
この「於佐賀部殿」(おさかべどの)の注は“姫路城の「天主櫓の上層に居て常に人の入ることを嫌ふ、年に一度其の城主のみ是に対面す、其の余は人怯(おそ)れて登らず、城主対面する時、妖其の形を現はすに老婆なりと伝ふ」(甲子夜話、三〇)”とある。
明確に書かれていないが、冒頭の808匹の狐を従えている女狐が「於佐賀部殿」で、タイトルは主な部下の「四天王」のことのように読める。
参考資料
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ホントは怖い日本のお城 (扶桑社ムック)
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姫路城100ものがたり 中元 孝迪:著 (神戸新聞総合出版センター) ※妖怪の記述無し
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対訳西鶴全集〈5〉西鶴諸国ばなし,懐硯 (1975年) 麻生磯次、冨士昭雄:訳注 (明治書院)
・Fate/Grand Order(スマホアプリゲーム)
他
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