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坂上寶劔。日本の歴史、伝承の刀剣。

平安時代の武官、武将で二度、征夷大将軍になった坂上田村麻呂(さかのうえたむらまろ 生没758-811)の佩刀と伝わる。


坂上宝剣の伝承は、『富家語』『古事談』『古今著聞集』などに伝わるという。
坂上田村麻呂の死後、天皇家で歴代天皇の傍に置かれ、 敦美親王のもとでは雷がなるとひとりでに鞘走るという不思議をみせたという。 醍醐天皇(897-930)は御所内だけでなく行幸にも佩用したという。
なお田村麻呂は勅命で立ちながら甲冑兵杖を帯した状態で葬られ、国家に非常があれば鳴動すると考えられたという。

『古今著聞集』 巻二十 魚虫禽獣
延喜野行幸に御劔のいしづきをおとさせ給ひたりければ、希有の事也。ふるき物をとておぼしなげか
せ給ひて、たかきつかのうへにうちあがらせ給ひて御覧じければ、御犬件のいしづきをくはへて参り
たりける。これは劔の高名なり。その劔は雷鳴の時はみづからぬくといへり。しかあれどもいまの世に
はしらず。京極大殿はおそれをなしてぬくべからずとぞ仰せられける。しかあれども不審によりてあ
る人をもてぬかせて御覧じければ。みねのかたによりて。金をもて坂上寶劔まきたりけり。知足院殿
つたへてもたせ給ひたりけるを、白河院よりめされければ参らせられにけり。式部卿敦實親王の劔と
今は是となり。

標剣しるしのつるぎ、そはやのつるぎ(ソハヤノツルギ)ともいうようだが、これは別の刀のことともいう。

2010年に鞍馬寺に確認したところ、「そういう話もあるようだが、 (鞍馬寺では)コクシツノタチを坂上宝剣とは呼ばない」とのこと。




坂上田村麻呂は東北最大の実力者アテルイ(阿弖流為 生没?-802)と磐具公母礼(ばんぐのきみもれ)を降伏させた、 正三位大納言の官位にまでのぼった。
801年(延暦20)の第三次蝦夷征討に際しては「節刀」(せっとう)を受けて赴いた。

参考文献・出典
国史大系 古今著聞集・愚管抄 (新訂増補 新装版)
図解 武将・剣豪と日本刀
日本刀 (著:本間順治)
日本架空伝承人名事典 (平凡社)
刀剣 (カラーブックス 175)
日本国語大辞典 〔精選版〕 1


2015年4月、黒漆剣と坂上宝剣を別項目としました。必ずしも同一として述べてはいませんでしたが、同一扱いする資料にも依っていた事もあったので伝承も様々で確定的意見はわかりませんが、 鞍馬寺でそう呼んでいないこともあり、複数ご意見も頂戴したので誤解ないよう別にしました。 ※水槌様より黒漆大刀と坂上宝剣は別物との情報を頂きました。
※HN静鹿御前さんからも黒漆剣と坂上宝剣は別物と情報頂きました。

 
関連項目一覧
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