セイレーンは単数、複数形はセイレーネスSeirenes。河神アケローオスまたはポルキュスが父。
母はステロペー、またはムーサの一人(メルポメネまたは
テルプシコラ[テレプシコーラ])。
セイレーンは主として鳥の姿で人間の頭、または女性の胸、腕を持つことも。
また竪琴や二本笛を奏で、それに合わせ歌を歌うことも。セイレーネスが崇拝されている地では彼女たちは
神託の女神だった。また死と愛の女神であり、冥界の女王の侍女とも。
後に、ヨーロッパ(古フランス語sereine、ラテン語Sirena)では人魚をサイレン、
セイレーンとも呼ぶようになったようだ。英語での記録は14c世紀にはみられるようだ。
壷絵に描かれたセイレーンの名にヒメロパー(憧れをかきたてる声をもった女)、また3人一組の名でテルクシエペイアー、 テルクシノエー、テルクシオペー(魅惑する女、thelgein「魅惑する」の意)。 他に伝えられる名にアグラオペー、アグラオポーノス、アグラオペーメー(朗々たる声を持つ女)。 大ギリシア地方(イタリアのエトルリア南岸)で崇拝されていたネアポリス(ナポリ)のパルテノペー(処女)、 レウコシアー(白き女神)、ナポリ南地方のリゲイアー(朗々たる声をもつ女)がある。
オデュッセウスの物語では魔女キルケーが魔力あるセイレーネスの音楽と彼女たちのいる花盛りの草地を避けるように、 それが避けられなければ、みなの耳に蝋を詰めておき、オデュッセウスが彼女たちの明るい声を聞くならマストに体を しばりつけておくように忠告した。オデュッセウスは彼女らの呼びかけに縛めを解くように 同胞にいうほど魅了された。しかし彼らを捕えられわれなかったセイレーネスたちは自殺する。
警報などの「サイレン」(号笛)の語源である。
世界的なカフェチェーン「スターバックス」のロゴの人魚もセイレーン(サイレン)である。
スターバックスの創業者がロゴをどうするか、シアトル港のルーツとコーヒーに関する海運書を読んで、
16世紀のノルウェーの木版画で2本の尾を持つ人魚サイレンをみたらしい。
余談だがコミック・アニメ作品『聖闘士星矢』の海将軍のひとり、セイレーンのソレントは上記のギリシャ伝承にあっているカンジで 笛を用いた技「デッドエンドシンフォニー」を使った。
参考資料
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日本国語大辞典 〔精選版〕 1
・日本大百科全書 (執筆者:伊藤照夫 小学館)
・プログレッシブ和英中辞典 (JapanKnowledge)
・その他のギリシャ神話本
関連項目一覧
ヘレネス[ギリシャ] (文化地域)
女神 (大項目)
テレプシコーラ (女神:ムーサイ)
ムーサイ (女神:音楽)
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary