幻想世界神話辞典 〜
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トンボ とんぼ 蜻蛉 (英語ドラゴンフライ dragonfly) >>関連項目一覧極地以外、世界各地でみられる昆虫。 名前のついてるもので約6000種あり、熱帯地方に種類が多い。旧北区(主に熱帯以外のユーラシア)には一般に多くないという。 日本には亜種を含め約200種がしられる。 昆虫の種類は地球上の動物で最大多数といわれる。このトンボの種類も非常に多いといえるだろう。 それだけ人間の生活上で触れる機会も多く、独特の姿かたちは印象も強く、神話伝承を生み出したのだろう。 日本とヨーロッパで、共に地獄的なところと関連づけながら、意味あいが対称的なのはおもしろい。 日本では、あきつ(秋津/蜻蛉)、あきづ(秋津/蜻蛉)、あけず(蜻蛉)、だんぶり、かげろう、せいれい、とんぼう、などとも。 日本では縁起がよいとか良い意味の伝承がみられるようだ。また特定の種類のトンボに 特別な意味づけがされた。 一般にとることを忌み、殺すと罰があたるという。 秋の季語である。 「とどまればあたりにふゆるとんぼかな」(汀女) 以下のような神話伝承がある。 ・アケズ(蜻蛉) 古事記・日本書紀に、 天皇の腕をかんだアブをアケズ(蜻蛉)がとったので トンボをたたえる歌を詠んだ物語がある。 ・カミサマトンボ オハグロトンボのことを言い、とることを忌む。田の神として尊ぶ地域もある。 ・盆(精霊会)の時期のトンボ(とくにアカトンボ) 精霊の姿、精霊(しょうりょう)を送迎するものとする風習が全国でみられる。 (京都府北部) 7月1日を「トンボ朔日(ついたち)」と呼び、地獄の釜のふたがあき 赤トンボが生まれる日だとする。 (岡山県) 盆トンボとよび、アカトンボをとると盆がこないという。 ・ハンクコッチャ hankucotcha (アイヌ語) たくさんいるところに行き合わせると縁起がよいとか、もてあそんではいけない、といわれるという。 その他の世界のトンボ神話伝承 ・ (ズニ族 アメリカ先住民族) 超自然的な力をもつので殺すのを忌むという。 ・「蛇食い」 インディアナ州(アメリカ先住民族) トンボは蛇の下僕として仕え、蛇を食うのでこの名前。 また医者でもあり、南部では「蛇医者」と呼ばれヘビを生き返らせることもある。 ・ ヨーロッパ トンボは悪魔的で、世の中に災いをもたらすため魔王から送られてきたという。 多くの国で「天秤 Libra」が語源の言葉で呼ばれる。トンボの形からきているらしい libellule (フランス語) Libelle (ドイツ語) またフランス語でOdonataとも。ギリシャ語odonto- からで「歯」の意味だという。これも特徴的な口から きているようだ。 ・ドラゴンフライ dragonfly (英語) 悪魔としてのドラゴン。flyは羽のある虫。古代、爬虫類や昆虫を大きく虫扱いすることは ヨーロッパでもアジアでもみられた。 ダムゼルフライdamselflyはイトトンボ。 ・悪魔の縫い針 devil's darning needle (ヨーロッパ) 子供は嘘をつくと口を縫われる、と聞かされる。 ・ニンフ nymph (ヨーロッパ) トンボやカゲロウの水棲の幼虫を水のニンフになぞらえてそう呼ぶという。 古代ローマの、プリニウスの「博物誌」の昆虫の項には残念ながらトンボはなかった。 ミツバチについての記述が大半を占めていた。 ・極楽とんぼ 「広辞苑」では「うわついたのんき者をののしっていう」とある。 ウスバカゲロウのことをいうとも。あまり「極楽」とは関係ないようだ。 トンボのことをカゲロウともいったので、昔はウスバカゲロウもトンボの類とされたのかもしれない。 里見クの小説に、生涯のほほんと生きた武士の物語「極楽とんぼ」がある。 余談だが、「ドラゴンフライ」は、ウィザードリィやドラゴンクエストなどファンタジーゲームでモンスターとして おなじみである。 FF11/FFXIには「ガガンボの腹虫(ががんぼのふくちゅう/Damselfly Worm)」というアイテムがあるようだ。 参考資料 ・広辞苑 ・世界大百科事典 (執筆者:小島瓔礼(ネに豊) 平凡社) ・日本大百科全書 (小学館) ・大辞泉 (JapanKnowledge) 関連項目一覧
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