日本の伝承の弓矢。梓の木で作った丸木弓。梓巫女(あずさみこ)が用いる小さな弓。
梓は木竹合成弓が考案される平安時代中期まで弓材として用いられた。古事記、万葉集にもその名がみられる。
「雷鳴の陣」のように弓を鳴らすことは呪術的・魔術的意味がある。梓巫女がトランス状態に
なるのに必要なようだ。この場合、多くのシャーマンが楽器を使うのと同じといえる。
また文化史的に、弦楽器は弓を鳴らすことが原型だといわれていること、また狩猟の道具であり、
命の糧を得る弓、生存を左右するは神聖視されることもあった。
「梓弓 末は知らねど 愛(うつく)しみ 君に副(たぐ)ひて 山道(やまち)越え来ぬ」(万葉集3149)
「梓弓 はるかに見ゆる 山の端(は)を いかでか月の さして入るらん」(拾遺和歌集?・雑下533)
また枕詞としては、弓に関係のある、「引く」「張る」「射る」「反(かへ)る」「寄る」「音」「本(もと)」「末(すゑ)」などにかかる。
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