おおつごもり、おおとし(大年)。大卅日。
日本の伝承、風習。一年の最後の日。晦日(三十日 みそか)がひと月の最後の日のことをいうので、
大晦日が一年の最後、となる。(昔の日本の太陰暦では小の月は二十九日、大の月は三十日あった)
ゆく年くる年、を思う日であるだろう。
雑俳・柳留多-ニ「つねていの うそでは行かぬ 大三十日」
地域によっては、「なまはげ」など、あるいは歳神、
年神(としがみ)に関連した祭事がある。(農事暦の年の変わり目)
昔話「大年の客」旅人か乞食に宿を貸し火をたいてもてなしたら、翌朝その客が黄金になっていたという。
昔話「大年の火」でも正月に火種が消えもらい火すると良くない年になると、家人のために大晦日の晩に辻で
弔いの列からもらい火し、棺がこわれた遺体を家の長持(ながもち)に預かると遺体は無く小判でいっぱいになっていた。
大年の晩、辻には神々が出歩くという。福の神の授けものだろう等、
大晦日の善い行い、こころがけに良い報いがあるという話である。「笠地蔵」も同じ筋の話であろう。正月に
餅ぐらい欲しいと売り物にいくがうまく売れず笠と交換し、それを雪の中の地蔵にかけてしまう。
すると夜半、家の前に食べ物や小判の贈り物があった。
家庭では「年越しそば」を食べるのが一般的のようだ。 寺では夜に「除夜の鐘」がならされ、108つの鐘が百八煩悩を 払うといわれる。 年内の夜から寺社に詣でて、新年を迎え「二年参り」で新年の初詣でをする人もいる。
滑稽本・浮世風呂-三・上「去年と云ふととんだ久しい様だが、大卅日(オホミソカ)
と元旦と夜が明た計で、去年もをかしいぢゃアねへか」
ちなみに新年、はじめの日を元旦というが、月のはじめの日を月旦(げったん、がったん)ということからきている。
『野菊の墓』(伊藤左千夫)「年の暮だから一日でも二日でも帰れというて母から手紙きた故、大三十日 の夜帰ってきた」
キリスト教では一年の最後は暦名、祝祭として「シルベスター」といわれる。 教皇シルベスター1世(在位AD314-335)の名がつけられたもので、 おまつり騒ぎをしてすごすのが一般的という。
ちなみに『日本国語大辞典』<なまり>オーミソーガ、オーメソカ[千葉]と記述があるが千葉市以西、または 千葉市以南東京湾沿い辺りではとりあえず聞いたことがない。
参考資料
・
日本国語大辞典 〔精選版〕 1
・ふるさと再生 日本の昔ばなし
他
関連項目一覧
日本 (文化地域)
暦 (大項目)
なまはげ (日本:神)
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