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アザゼル Azazel (悪魔)

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旧約聖書外典の『第一エノク書』の13章1節に「アザゼルよ、お前は平安を得ることができない。お前をしばってしまえというきびしい判決がくだされたのだ。」 同2節「お前には赦免も休息もあたえられない。お前が不義を教え、人びとに不信と不義と罪のしわざを教えたからだ。」と記述がある。 これは12章3節「『見張りの者』らに言え。彼らは高い天をはなれ、聖なる永遠のすまいをすてて、女と交わって身をけがし、地上の子らのすることにならって妻をめとったのだ。」とあるように、 堕天使である。

また、アグリッパ(ドイツの錬金術師、デーモン学者)が中世デーモン学からとった名前の悪魔。 四元の風に結びつく極悪なダイモーンをあらわすという。

カバラ学者によれば、「レビ記」16・10の、贖罪の日に魔神アザゼルのもとに追いやられる雄山羊は、悪の諸力が介入しないための捧げ物である、と『ユダヤの神話伝説』P63に説明がある。

大衆向けのグリモアでは山羊の守護者とされるが、ヘブライの贖罪の山羊の儀式の名がアザゼルであることから結びついたようだ。に この第七の月の十日に祝われるこの儀式の贖罪の山羊もまたアザゼルといわれる。

ブランシーの『地獄の辞典』ではクジで選んだ二頭の山羊の一頭が神に、もう一頭がアザゼルに捧げられる。 山羊番の二級魔神だという。アザゼルの山羊に罪を負わせて砂漠に放ち贖罪する。この贖罪にお山羊は、英語でスケープ・ゴートscapegoatといわれるものである。

イスラームのデーモン学ではジンであり、他の天使たちとともにアダムを崇拝するよういわれたが「煙のない炎の子(天使)は塵の子に膝を屈するべきではない」として拒んだ。そのため天から投げ出されイブリースになったという。

ミルトンの『失楽園』にも名前がでてくる。地獄軍の第一旗手、謀反の天使たちの旗振りとして描かれた。

参考資料
地獄の辞典(コラン ド プランシー著)
旧約聖書外典(上)(下) (講談社文芸文庫)[エノク書 新見 宏:訳]
ユダヤの神話伝説 (青土社) ※P63

 
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