古代エジプト神話の創造神、太陽神 男神。九柱神(pesedjetペスジェト[psdt 九の群] エンネアド)の主神。
「ヘリオポリスにまします偉大なる君主」。ヘリオポリスの宇宙創造神。
アトゥムからシュー、テフヌトが生まれたという。オシリスの曽祖父にあたる。
[エジプト 神々の系譜]
アトゥムの名前の意味は語根tm「完全なもの」動詞tmn「完全である」からきているという。
アトゥム、アテムなど類似の表記・名前がいくつかあるようだ。
またラー・アトゥムなど太陽神としての習合もみられる。
アトゥム・ケプリともされるようだ。(テーベ?)
「あらゆる人間(tmw)に始祖/この世にあるすべてを存在せしめる(skhpr)/アトゥム・ケプリ(Atoum-Khepri)の御名のうちに」
最初ヘリオポリスの主神、冥府神であり、聖獣は、うなぎ、ネコイタチだったという。後世の祭礼にむすびつく ブロンズ製の小箱の上の像はウナギであった。
<竪琴歌>
「神ラーは朝に彼を起こし、アトゥムは西に沈む」※ここではラーの別名
<セド祭の碑文>
「天にありてラー若返る時、
われらがソカルの双門は開かる。
アトゥムは現われ、
汝は地平線に光を見る。」
※アトゥムはラーとともにヘリオポリスで信仰された太陽神
<オシリス賛歌>では
ヘリオポリスの宇宙創造神
オシリスの曽祖父 シュー、テフヌトの父
<アメン・ラー賛歌>
「テーベは・・・アトゥムの聖眼、ラーの眼なり。」
「ヘリオポリスにまします大いなる神なり」
「二つの季節に力強きアトゥム」
アメン・ラー賛歌での、「つば吐きて」は、万物創造の手段とされた行為であるという。
シューとテフヌトを生んだことをさすようで、いくつか解釈があるようだ。
ピラミッド・テキストではアトゥムが手淫して二神を創造したとし、両性具有的性質があったともしたようだ。
または唾を吐くことでシュウを、嘔吐することでテフヌトを創造したとも、
痰をはくことで…とも、諸説みられる。
<ピラミッド・テキスト>
「父アトゥムの如くに。
アトゥム、このウナスをつくり
ウナスが力、アトゥムにまさる」
<ホルスとセトの争い>
アトゥムは「ヘリオポリスの両つの邦の主」。
イシスに「セトに枷つけて連れてこい」と命じる。
メンフィス神学ではプタハ神の方が偉いとされたようだが
「アトゥムが九柱神を創った」という。
アテムは神々を創造。アテムのヒケhike、ヘカの顕現であるという。
参考資料
・
筑摩世界文学大系〈1〉古代オリエント集
・エジプトの神話(フランソワ・ドマ:著 白水社)
・エジプトの神話(ジョージ・ハート:著 丸善ブックス)
他
関連項目一覧
エジプト (文化地域)
ラー (太陽神)
イシス (神)
うなぎ (大項目 アトゥムの聖獣)
星、星座 (大項目)
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary