「エロイム エッサイム 我は求め訴えたり Eloim, Essaim,frugativi et appellavi.」とよく紹介される。
ヨーロッパの伝承、悪魔学、グリモア(グリモワール)にでてくる呪文。
日本では水木しげる氏の「悪魔くん」で有名になってしまったが、
出典はグリモア
『The Black Pullet(黒い雌鳥、黒い若鶏)』だという。
『Histoire des livres populaires...』には赤竜Doragon rougeに掲載されてる黒い雌鳥の引用か
「Ēloïm, Essaïm,frugativi et appellavi」
と載っている。『The book of black magic and of pacts:』にも「Eloim, Essaim,frugativi et appellavi.」とみえる。
澁澤龍彦の『黒魔術の手帖』」では「エロヒムよ、エサイムよ、わが呼び声を聞け」と載っている。
エロイム、エロヒムはヘブライ語由来の神(Elエル)とされるようだ。「エロイム、エッサイム」で「神よ、悪魔よ」と訳しているものが多い。
オカルト解説書的な「Human Animals」にはThe Black Pulletからの説明で、ある儀式に「Elo'tm, Essaim,frugativi et appellavi.」を三度唱える ことが紹介されている。
Essaimはフランス語で「群れ」の意味があるが(et は「~と」の意味)、これがフランス語かは不明。
frugativiとappellaviはイタリア語に同じ綴りがある。(frugativiあなたを通して見た appellaviあなたが呼んだ)
The Black Pulletは、18世紀の書物で、
タリスマン、護符、まじないに関するグリモアgrimoireだというが、怪しさは爆発的といえるだろう。
プトレマイオスの図書館(アレクサンドリアの大図書館か)の火災を免れた古代の書物の内容だというが、偽書的なものだろう。
問題は載っている内容がなんらかしら、民間伝承のまじないか、創作でない伝承の類かどうかだか、不明。
世界中で、まじない や魔術的なものは、意味がわからないものが効果があるようだ。
密教の呪文や図像、曼荼羅、ヨーロッパの錬金術の文書など、秘匿する
意味もあるが、意味の通じにくいものが神秘性がでる場合があるといえる。
余談だが、この呪文(エロイム エッサイム 我は求め訴えたり Elo'tm, Essaim,frugativi et appellavi.)は、 悪魔くん以外にも、魔界転生やクトゥルフ神話でもみられるようだ。
参考資料
・
黒魔術の手帖 (澁澤龍彦)
・
グリモア『The Black Pullet(黒い雌鳥、黒い若鶏)
・Histoire des livres populaires, ou, de la litte'rature du colportage, depuis l'origine de l'imprimerie jusqu'a` l'e'tablissement de la Commission d'examen des livres du colportage--30 novembre 1852
・The book of black magic and of pacts:
・Human Animals
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary