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魔術、魔術師 Magic >>関連項目一覧


魔術は世界各地でみられる。 超自然的、神がかり的な力による現象をおこすための儀式や手段などといえるだろうか。

日本では巫女、巫覡、陰陽師、神主、修験者、山伏、ノロ、ユタ、イタコなど祈りや神、霊との媒介、儀式を行う専門の人間がいた、 またはいる。 韓国ではムーダン(巫堂)、中国では道士(タオシー)、方士、華僑社会ではタンキー(童乩)など。

アジア系、またアフリカ、北南アメリカ先住民族では「魔術師」というよりシャーマン、呪医といった方がよい 職能的聖職者が多い。純粋に「魔術師」という発想は、やはりヨーロッパのものといえるだろうか。 ハイチではブードゥーの呪術師オウンガン、ゾボがいる。

英語でよく知られるMagicはマギの項でも書いたが古代ペルシャ(イラン)のこのような職能的魔術師といえる者の呼称から派生したようだ。 英語読みではメイジとも。

他に知られるソーサリーsorcery/ソーサラーsorcererは魔術というよりは、日本語訳では妖術といったような、 やや他者に対し悪い作用をなす行為を行う場合に使うようだ。 語源的には古フランス語sorcerie(魔法使い)から。またラテン語からもきているという。 ソーサリスSorceress魔女は1384年に記述がみえる。あるいは魔女はソルシエール

ウィザード wizard
Wise(賢い)と語源を共にし、実際、哲学者、賢者を意味する。 中世では魔術師と前者の区分があいまいになったようだ。 現代では良いハッカーのこともいう。→ウィザード詳細

英語では他に魅了、魅惑すること=魔術としてチャーム、テンプテーションなどがある。

ドルイドdruidはケルト民族の魔術師、賢人。

ウィッチWitchは魔女のことを指すが男のウィッチもいるという。ゲルマン由来の語であるようだ。 (wikken,wicken/wikker,wicker)

ウォーロックwarlockは16世紀のスコットランド方言で「男の魔女」といった意味あいだったようだ。 9〜12世紀にもみられるが、 元は古ノルマン語のようだ。誓いを破る者、裏切り者、といった語源らしい。
→項目「ウォーロック


特に死者との特別な関わりを持つ場合、ネクロマンシー/ネクロマンサー(降霊術師)と 呼ばれる。ネクロは死者、マンサーは「〜を使うもの」直訳なら死人使い、といった意味である。

これらの名称はヨーロッパ、英語圏のものであるといえようか。

他にも、ゲルマンのルーンに関わる魔術セイズやヘレネス(ギリシャ)の巫女シビュラなどもある。

魔術、妖術、呪術といった言葉は日本語としても英語としても、他の言語にしろ、明確な分類は難しいだろう。

以下、ヨーロッパを中心とした魔術書、神秘学、聖典、聖典の外典、偽作関連、様々の文書など。
・ゾハール Zohar(ゾーハル 輝きの書)
カバラの文献、主要テキスト。13世紀終わり頃スペインでカバラ主義者モーゼス・デ・レオンMoses de Leon(1240頃-1305)が 2世紀と3世紀に生きた神秘主義サークルの教えであると称し写本を流布したという。現代の学者は13、14世紀の偽書とするとも。 カバラの伝統はゾハールが真正の古いテキストであるとされるようだ。

・ヌクテメロン Nuctemeron
テュアナのアポロニウスの執筆したものをエリファス・レヴィがフランス語訳 著書「超越魔術」(英訳版1896年)の付録に 「魔術的黄道12宮に類似する12の象徴的な時間」に従った デーモンの名前と支配が記述
・エノク書
キリスト誕生より1世紀前の著作 数部が現存。 紀元1〜3世紀は事実上正典とみなされていたらしい。 イスラエルの父祖エノクに結び付けられた。
・ソロモンの鍵(セフェール・マフテアー・シュレオモー)
ソロモンの霊を列挙とも
・ラジエルの書
古代グリモアの最古のものの一つだと考えられている


・「オカルト哲学」1531年 コルネリウス・アグリッパ
・「魔術の根本原理」1590年バーゼル刊 パラケルスス
・ソロモンの天使魔術の書
アダムの著作だという。マイケル・スコットがここからデーモンの名前を多く採ったらしい


・グリモア(グリモワール)Grimoire
15世紀末〜18世紀にかけての魔術にかかわるさまざまな文書をあらわす名称
以下、グリモアに分類される文献

 ・「降霊の文書」
スコットがいうにはソロモン作とされる レメゲトンの原型かもしれないという
 ・「心身破滅の書」アダムの著作とされる
 ・「真実在の影」ソロモンの作とされる


・レメゲトンLemegetom
「ソロモン王の小さな鍵」「ソロモンの小さな鍵」「小さな鍵」とも ソロモンが著者だとするのはみせかけ。一般のグリモアより高い水準だという。現存する最古の版、17世紀初頭のもの。
 ゴエティア(ゲーティア) 第一部ではソロモンの霊72人列挙
 テウギア・ゴエティカ 第二部 四方のデーモン
 パウロの書 第三部
 アルマデル 第四部


・アルバテル
・ヘプタメロン


その他
・Discovery of Witchcraft(魔女の正体をあばく) 1584年 レジナルド・スコット:著

【外部リンク】
魔術書などについて
http://www.esotericarchives.com/esoteric.htm
ネクロノミコン、ルルイエ異本、アッピンの赤い本などについて
http://www.tenebrositas.org/s_eng.htm


 

関連項目一覧
ドルイド 【ケルト:聖職者,魔術師】
ウィザード 【英語:魔法使い】
ウォーロック 【英語圏:魔術師】
ネクロマンサー(降霊術師) 【ヨーロッパ:魔術,占い,予言:死体】
  
イヌガミ(犬神) 【日本:呪術:憑き物】
エロイム エッサイム 【ヨーロッパ:グリモア:呪文】
エンノオヅヌ(役小角) 【日本:呪術,修験者】
エンノギョウジャ(役行者) 【日本:呪術,修験者】
カミナリノジン(雷鳴の陣) 【日本:呪術,魔術:儀式】
カリオストロ 【ヨーロッパ:魔術師,錬金術師】
グリモア 【ヨーロッパ:悪魔学:文書】
ゴエティア 【ヘレネス(ギリシャ):魔術】
シャマン(シャーマン) 【大項目:巫術師】
使い魔、ファミリア 【ヨーロッパ:魔物,霊】
トファルドフスキ 【ポーランド:魔術師】
ネキオマンテイア 【ヘレネス(ギリシャ):魔術、予言、占い】
ファウスト 【ドイツ:魔術師】
ヘルメス・トリスメギストス 【ヨーロッパ:魔術,錬金術:神】
マギ 【イラン,キリスト教:祭司,魔術師】
マギカ 【ヨーロッパ:ラテン語】
マゲイア 【ヘレネス(ギリシャ):魔術】
ワイズマン 【英語:魔法使い】

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