ヘレネス(ギリシャ)の神話・伝承の美少年。ボイオーティアの河神ケフィソスと ニンフのレイリオペの子。 その美しさはニンフたちに愛されたいたという。
美少年のナルキッソスは誰からも愛され、慕われていたが、性格は難があったようで、 すべて冷淡に拒否していたという。
ニンフのエコーは恋していたが、かえって彼に辱められ、絶望のあまり森の奥に隠れてしまい、 憔悴しきって骨と皮だけになり、 声だけが残ったという。(こだま、やまびこの起源)
このような態度のナルキッソスを恨む者は多かったようで、ある1人は神々に、彼自身も このように恋い焦がれながらも 報われることのないようにと祈り、復讐の女神ネメシスが 聞き入れた。
彼が16歳のとき、狩りに疲れて水を飲むのに泉にかがみこんだ時、はじめて自分の姿を水鏡でみて、 自分の姿に恋し激しく心を奪われた。水面に映った姿が自分ともわからぬまま、充たされない 恋のせいで自殺したとも、憔悴して息絶えたともいう。
ニンフたちが悲しみ葬儀をしようとしたが、遺体がなくなり、花の水仙 (ナルキッソス、ナルシス)になったのだという。また失神(ナルケーnarke)の意味も含んでいるという。
ちなみにこの泉はボイオーティア地方のテスピアイ、ヘリコーン山の多くの泉のひとつという。
後に精神分析の用語「ナルシズムnarcissism」の語源由来となった。 自己愛を意味する。ナルシスNarcisseはナルキッソスのフランス語。 (英語ナルシッサスNarcissus)
「ナルシストnarcist」は自己陶酔型の人、うぬぼれ屋をさす語。正しくは ナルシシストnarcissistであるようだ。(*英語ではないようだ)
参考資料
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ギリシアの神話 (神々の時代) (カール・ケレーニィ:著 植田兼義:訳 中公文庫)
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ギリシア神話小事典 (現代教養文庫)
・
故事名言由来・ことわざ総解説 (自由国民社)
・
ギリシア神話〉 (呉茂一:著 新潮文庫)
他
関連項目一覧
ヘレネス[ギリシャ] (文化地域)
ネメシス (女神)
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