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フドウミョウオウ 不動明王 (アチャラナータacalanāta) >>関連項目一覧仏教(密教)の伝承。五大明王(チベット密教の五人のヴィドーヤーラージャ、ヴィティヤーラージャ)、八大明王の長、 中央、センターに位置する主尊。不動尊。無動尊。 真言(宗)では菩薩とされることもあるようだが基本的には明王は菩薩とは別であるようだ。 「アチャラナータ」はシヴァ神の異名、別名。阿遮羅嚢他(あしゃらのうた)と音写する。アチャラは漢訳で「無動尊」。 大日如来(ヴァイローチャナ)に伴っていて、大火炎の中に座し剣と縄を持っている。または 大日如来の命を受けて魔軍を撃退し、災害悪毒を除き、煩悩を断ち切り、 行者を守り、諸願を満足させる。 あるいは大日如来が悪魔・煩悩を調伏するために怒りの相を表したもの。 火生三昧(火の燃えるような境地)に住するせいか火、炎、火焔の表現とからむ。 姿は、右手に利剣、左手に縄を持ち、岩上に座して火炎に包まれた姿で、怒りの形相に表す。 両眼を開いたものと左眼を半眼にしたものがあり、牙を出す。童子形で肥満。 不動明王の宝剣(利剣 煩悩を断つ智慧の剣)は倶利迦羅竜(くりからりゅう)王がまとい付いたもので、 「倶利迦羅竜王経」(大正蔵経所収 第21巻)に所説あり。石山寺に平安期の図像が伝存。 明王が念じる功徳力により竜を駆使し、またその化身として三昧耶形であるという。 不動明王像で表現されている十九観(十九想観)では 不動明王は大日如来の化身であるといい、 倶梨迦羅(クリカラ)竜王に化身するとも。 また、二童子、矜羯羅(こんがら)・制迦(せいたか)に変じるとも。また図像ではこの二童子を従えた三尊形式をとることも多い。 図像、姿の表現は、時代の移り変わり、不動信仰の隆盛などで変化した。 不動明王像は9世紀初め空海によりわが国に伝えられたという。 図像化の原型は、725年(開元13)の善無畏(ぜんむい)訳の大日経にある「不動如来使者は慧刀(えとう)、 羂索を持ち、頂髪が左肩に垂れ、(目は)一目にして明らかに見、威怒身(いぬしん)で猛炎あり。磐石(ばんじゃく)上に安住し、 額に水波の相があり、充満した童子形もある」という記述によるという。 鎌倉時代には、信海(しんかい)様とよぶ剣をついて岩に休止する像、 走り不動のように剣を担ぐ像など全身が動的になった。 忿怒の表現は、大師請来様では両眼を見開き、二牙共に上か下に突出し、彫刻・絵画にみられる。時代が下ると、 半眼半開(すが目斜視 成仏の相のひとつ)が多くなる。 不動明王の威力によって人を動けなくする「不動金縛りの法」がある。 参考文献 ・ 日本国語大辞典 〔精選版〕 1 ・日本大百科全書 (小学館) 関連項目一覧
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