日本・千葉県の伝説に出てくる竜。印幡沼の主で巨大な竜だったという。 沼のほとりの村が気に入り、時々若者の姿で遊びに行っていた。村人は竜が化けた若者に首のところ にあざのようにうろこが残っているので見分け、ごちそうや土産物でもてなした。
ある日照りの激しい年、竜は村人が困っているのを見て黒雲を呼び、沼をまっぷたつに割って天に あがった水柱の中で、目を光らし天をにらんでいた。
すると大粒の雨が降り村人が 喜んでいると、轟音とともに稲妻が三方に走り、黒い固まりが3つ飛び散った。
大雨はしばらく降って、村人は沼の主の竜神のおかげだと喜んだ。すると白い髭の老人がやってきて 「お前たちは幸せ者だ。天の大竜神は沼の竜に勝手に雨を降らさないよう止めていたのだ」と言った。
村人たちは、自分たちのために天の大竜神に体を裂かれた沼の主に感謝し、竜の亡骸をさがす と角、腹、尾に3つにわかれていた。それぞれの場所に竜角寺、竜腹寺、竜尾寺を建て供養した。
関東平野は江戸が整備されるまで湿地も多く、川の氾濫も多かった。 利根川を大きく東に流れを変える工事を行うなど江戸期以降様子は変わっていった。 印旛沼は利根川の水位上昇で氾濫するようになった。 印旛沼から江戸湾に運河を掘り、新田開発と水運を行おうという試みは徳川吉宗や田沼意次、水野忠邦など いくつかの政権がとりくんだが難工事で失敗し、結局1969年、新川を通して花見川に排水できるようになった。新田開発も行われた。
参考資料
・千葉県のむかしばなし
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary