世界中の神話・伝説にみられ、竜、ドラゴンとして呼ばれるもの、あるいは蛇の姿をしたものなど、
その数は膨大である。
英語「Dragon ドラゴン」のもともとの意味も蛇(サーペントserpent)、または巨大な海の魚をさした言葉である。
主に荒れ狂う自然の力の象徴と考えられ、人間側に危害を加える存在であり英雄に倒されるという物語が多い。
ケルト神話には雪を降らせるドラゴンがでてくるのが興味深い。
スラヴ、ロシアなどでは3つ頭、三つ首のドラゴンが定番のようである。 またマジャール(ハンガリー)の民話に出てくるドラゴンは複数の頭(7、12、24など)を持ち、 数が多いことが強さの比喩になっているようである。頭の数が多くなることで強さをしめす同例に 北欧の民話の妖精トロール等がある。
ヨーロッパ各地での名称は関連項目等を参照されたい。ドラゴンdragon自体の語源は古代ギリシャの
ドラコンdrakon(蛇、竜、巨大な海の魚)からきている。
(ドラコスを参照)
ラテン語draconem(draco)は巨大なサーペント、古フランス語dragon、ゲルマンでdrakontos等。
またヘブライ語の旧約聖書の「蛇」を訳すためにも用いられた。あるいは「大きな海の怪物」
タンニンtanninを訳すのにあてられたのだとも。
日本では「竜巻」(たつまき)という言葉があるが、細長く天地伸びるその有様をみて、 アフリカ東部でもスワヒリ語で「ニヨカ(蛇の意)」と呼ぶ。 湖にいる大きな蛇が天へ登っているのだという。アメリカ大陸の先住民やオーストラリア大陸の先住民たちも 水場などに棲む角のある蛇,虹蛇といった竜のような神、精霊的存在の伝承がある
中国北部に黒竜江という河があるが、この河の氾濫は
黒竜 が起こすというのでこの名で呼ばれているという。
また優れた馬が跳ぶ様を「玉竜」と表現した詩もある(孫権ソンケンの項参照)。
ヨーロッパでは竜と火、というイメージが強い。銃をあらわすガンGUNという語もDragonの
語尾からきているという。
また、近世に出現した銃火器を装備した騎兵をドラグーンDragoon
(竜騎兵と訳される)と呼んだりした。
恐竜の化石を「巨人の骨」「悪魔」とする考え、伝承がヨーロッパにあったが、世界各地で神や巨人などのものとされる
伝承が多い。中国では龍の骨といわれた。
また、まさしく漢方では動物の化石骨を「竜骨」として薬にした。海のものだが「竜涎香」
(りゅうぜんこう)というものもある(クジラ由来)。
不思議なものが竜のもの扱いされるということもみられる。(竜珠など)
魔物、ドラゴンを倒してお姫様を救うという、英雄物語の鉄板のモチーフは、現代においても 失われることはない。
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary