さんざる。三匹猿。青面金剛(しょうめんこんごう)の三匹の使い魔。
また庚申(こうしん、かのえさる)をいう。三匹の猿が 見ざる・聞かざる・言わざる の三態を表し
両手で 両目・両耳・口 をおおった姿を絵や像にしたもの。日光東照宮や庚申塔のものが
知られる。
伝教大師・最澄が仏教の三諦を教えるためにもちいたなどともいう。
『論語』「非礼勿視、非礼勿聴、非礼勿言」もある。
「逆さ三猿」(見よ・聞け・言え 終戦後民主主義ブームでも流行)、
「変わり三猿」(一部が逆 [みよ・きけ・いうな] 追加要素の四猿、五猿 等)もみられる。
前を隠す「せざる」の四猿は、論語の「非礼勿動」(非礼をおこなうなかれ)。
庚申の夜は夫婦慎むいわれもある。
非常に記号性、メッセージ性にすぐれているせいか、
経緯不明だが諸外国でも雑貨小物で多くでまわっている。
「SEE NO EVIL」「HEAR NO EVIL」「SPEAK NO EVIL」
3WISE MONKYES 「SEE ALL」「HEAR ALL」「SEY NOTHING」
カエルやピンクパンサー、和服着物の女性など、猿以外のものもある。
孔子も述べているくらいで、道徳・思想的には世界各地に似た考えがもともと
あったかもしれない。(図像にするまでもなく)
南方熊楠は『十二支考』猴に関する伝説 で「1889年版モニエル・ウイリアムスの『仏教講義』
に、オックスフォード大学の博物館に蔵する金剛尊は三猿を侍者とすと記し、
文の前後より推すにどうもチベット辺のもので日本製でなさそうだった」ので問い合わせたが
氏が病中で熊楠も帰国してしまいそれきり未確認らしい。
続きの文で熊楠自身チベットや北京で尊像みてるので「伝教の創作じゃなかろう」と述べている。
俳諧『四山稾』(子供と三猿の真似をして遊びをして)「これ三尸をさるといふ、庚申の夜の神すがたなりとぞ」
参考資料
・
日本国語大辞典
・
十二支考〈下〉 (岩波文庫)
・
世界の三猿―見ざる、聞かざる、言わざる(中牧 弘允)
他
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