アテナ、パラス・アテナとも。ヘレネス[ギリシャ]神話の女神。処女神。「パラス」は「強い処女」の意味だという。
智慧、戦争、技術を司る。寵愛の鳥はフクロウ、
オリーブの木がこの女神の木として捧げられている。
ローマ神話のミネルウァ(ミネルヴァ、ミネルバ)が同一視される。
ゼウスの娘であり、ゼウスの頭から全身、鎧を着たまま飛び出して生まれた。
戦争の女神であるが、それは防御の戦であって、暴力で血まみれになる戦争はアレスが司るのだという。 また、大変美しい女神でもあり、ヘラ、アプロディテと美しさを競う場面のある物語もある。
頭に兜、手に盾と槍、また勝利の女神ニケを手にもつ姿であらわされる。
胸にケイプ、胸甲をつけているが、そこにペルセウスが斬りおとしたメデューサの顔、首がついている
(ゴルゴネイオン)。
あるいは山羊の皮の盾アイギス(イージス)をもつとも、アイギスはゴルゴネイオンがついたケイプのこととも。
アテナイはアテナ女神の町であり、ポセイドンも欲していたが競争をして勝って手に入れたという。
ポセイドンが馬を作ったのに対し、アテナは橄欖(オリーブ)を作り出した。
人間にはオリーブの方が必要ということでアテナが勝った。
器用な者を愛するという技術の神で、男性の仕事では農業と航海術、女性の仕事では糸つむぎ、機織、裁縫
を司る。
またアテナが女神たちの着物織るともいう。
アラクネという機織が得意だが神に対して傲慢だった女性と勝負する物語もある(
アラクネを参照)。
智慧の女神でもあり、ゼウスの雷を発明したのはアテナで、ヘパイストスと
彼の職工のキュクロプスに教えてゼウスのためにつくらせたともいう。
笛を発明したという物語もある。
ダイダロスに嫉妬から殺された甥ペルディクス(ダイダロスから機械の細工ならった)
は銛や羅針儀を発明したが高い塔から突き落とされ死んだ。
器用な者を愛するアテナは彼をパートリッジ(鹿鳥、古鳥しゃこ)という鳥に変えた。
この鳥は樹木の上に巣を作らず低い茂みの中につくる。高く飛ぶこともない。
人間の英雄を助けることも度々あり、ヘラクレス、オデュッセウス、ペレロポンの物語等にみられる。
ヘラクレスがケルベロスを連れて来るとき、アテナとヘルメスによって冥界へいった。
オデュッセウスが筏で漂流した時、波を鎮め助けた。
参考資料
ギリシア神話小事典 (現代教養文庫)
・
ギリシア神話 下 (新潮文庫)
・
ギリシャ神話―付・北欧神話 (現代教養文庫)
・デジタル大辞泉
他
関連項目一覧
ヘレネス[ギリシャ] (文化地域)
アイギス(イージス) (盾)
ゴルゴネイオン(ゴルゴンの首) (ギリシャ:呪物)
パラス (女神,処女)
ゼウス (父神)
ポセイドン (海神)
アレース(アレス) (戦神,軍神:火星)
ヘパイストス (鍛冶神)
ヘラクレス (英雄)
キュクロプス[サイクロプス] (一つ目巨人)
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary