邪視、魔眼とも訳される。 世界各地で「眼」というものに特別な力を感じ、様々な伝承が存在する。この邪眼、邪視、イビル・アイ Evil Eyeといった言葉は、「視線・見る・見られる」ことで悪影響がある、という伝承のことである。用語としてはヨーロッパのものであるが、世界各地で同様の考え方が存在する。
イビル・アイの概念でいえば、悪いことが起きた時、それは「イビル・アイされたからだ」という理由づけになり、イビル・アイできる者の存在につながる。人前でむやみに賞賛されることはイビル・アイされる危険を伴うとされ、そのような嫉妬の対象とならないよう、むやみに誉める、誉められることを避けるという考え方にもつながる。さらに「誉めることの逆=悪くいう」事で、「誉めることをあらわす」ところまで行き着く。
視線に強力な殺傷の力を持つ存在が語られるのもこういった伝承と無関係ではないだろう。
考え方としては、
野原で切り傷ができた→何で切ったかわからない→「エルブン・ダート」だ、「カマイタチ」だ
といった類に近いと思われるが、人間の負の感情(嫉妬など)と「眼」に対する特別な位置づけが絡んでいる点が興味深い。
以下、邪眼・邪眼 Evil Eyeをあらわす言葉。
・英語 English
イビル・アイ(邪視)
オーヴァールック(邪視)
ファシネーションfacination(魅惑) ラテン語系−facinate魅了する
(ラテン語fasnatio、ギリシャ語βαδχαυια)
ウィシュトwisht(睨まれた) ゲルマン語系−witch魔術師、wiching魅する bewitch魅了する
・イタリア語
マル・ドッキオ(眼の悪) (マル・オッキオ、マロッキオ)(トスカナ地方)
イエッタトゥーラ(魅惑) (南イタリア)
※悪い働きではないが、古代メソポタミアの遺跡から目の形の魔除けが出土していたり、古代エジプト神話伝承の「ウジャト眼」のようなものもみられる。
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