ムスペルスヘイム、ムスッペルヘイムとも。北欧神話。世界樹ユグドラシルに9つある世界のうちのひとつ。
世界のはじまりには、底知れぬ裂け目ギンヌンガ・ガップだけの、なにも無い世界だったが、その北側の氷と雪と毒気のある川の水がもとになり、裂け目の中に大きな霜と氷の塊ができた。
ギンヌンガ・ガップの南側に炎が燃える国ムスペルヘイムがあった。この炎の国の熱気が裂け目の氷を溶かし、雫をしたたらせ、北の寒風でまた凍る。これが何千年も繰り返され、雫に生命が宿り原初の巨人ユミルが誕生した。
次に氷の塊が溶け、巨大な牝牛アウドムラが出てきた。ユミルは牛の乳を飲んだ。ユミルが汗をかくとわきの下、両足の間から巨人が生まれた。
その後、オーディンたちが、殺したユミルの体から世界がつくられるが、ムスペルヘイムから飛んでくる火花から太陽と月がつくられた。こまかい火花は星々になった。
巨人たちは、オーディンらによって、真ん中の国ミッドガルドを取り囲む海の外側へ追いやられた。ユミルのまつ毛で柵がつくられ、はいれなかった。
世界の終わりラグナロクの時、天が避け、炎の国ムスペルヘイムの巨人たちがやってきた。先頭の炎の巨人スルトなどが、ビフレストの橋を渡るとき、虹の橋ビフレストは焼け、砕け、壊れるという。
余談だが、ロボットアニメ『アイドルマスター XENOGLOSSIA』の12話は「ムスペルヘイム」である。
参考資料
・エッダ グレティルのサガ ちくま文庫 (松谷健二 訳)
・ギリシャ神話 付 北欧神話 (山室静:著)
他
関連項目一覧
北欧神話 原初世界の神々の系譜
ユミル(原初の巨人)
アウドムラ (北欧神話:原初の牝牛)
ビフレスト(北欧神話:虹の橋)
スルト (北欧神話:炎の巨人)
ラグナロク (北欧神話:世界の終わり)
ゲルマン、北欧神話 (文化地域)
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary