ドイツの伝承、ヨーロッパの錬金術にでてくる人造人間。小人。ゲーテの著作「ファウスト」にも出てくる。 名前の意味は「生きている小人」「小人 little person」。(ラテン語ホモhomo、ゲルマンhominisが人間 + -culus) 16世紀当時、医師、錬金術師のパラケルスス(1493-1541)が創造に成功したと考えられていたようだ。
ホムンクルスの作り方はいくつか伝わっているようだ。パラケルススの著書「物性について」には
次のように書かれている。
「男子の精液を蒸留器の中に40日間密封する。液はやがて腐敗し生動し始め、人間の形に似たものがあらわれる。
これは透明で実体がほとんどない。この物体を人間の血で養い40週間、馬の胎内に等しい一定の温度に保てば女性から生まれたのと
全く変わらない生きた子供になる。
ただし極めて小さい。これはファウヌスやニンフといった生成物の祖先で、
彼らのあるものは成年に達すると巨人や小人になる。技術によって生み出された彼らは先天的に技術そのもので、何も教える必要がなく、
むしろ教える資格がある。彼らは人間以上のもので精霊に近い」
また『神聖魔術』という本にも記述がある。「最も美しいクリスタルガラスで作った大きな清潔な容器に、
「三日月の時に集めた純粋な5月の露」1ます分、「健康な若者から取った血」2ます分、を入れ、この混合物を1ヶ月間放置する。
1ヶ月後、上澄みの水と赤色の土に分離するので、水を別の容器に移して「動物のチンキ」1ドラムを加える。
赤色の土は、おだやかな温度で保温した状態にし、1ヶ月放置する。土は徐々に「一種の膀胱」の形になり、
表面を細かい血管と神経が網の様に覆う。これに4週間ごとに別の容器にとった液体をふりかける。
さらに4ヶ月たつと、
ピチピチという音、生命の動きが出てきて、きわめて美しい1対の少年と少女ができる。
このホムンクルスは6インチの身長で、
食事は動物のチンキを1ヶ月に1回2グレーン与えればいい。やさしい性質で、言うことに従い、1歳になると自然界の多くの秘密を教えてくれる。
寿命は6年間。ホムンクルスができた時に、容器には真ん中に木が生えていて、あらゆる種類の美味な果物がなっている。
6年目の終わりに2人はこの果物を食べてしまい、そうすると容器に蒸気が発生し、次第に濃く、赤い色を帯びて閃光を発し、
2人の周りのものはみな干からび、2人は死んで燻り煙る塊となる。容器が大きく丈夫なものでないと破裂する危険がある」
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