ヘレネス(ギリシャ)の伝承にでてくる魔物、一角獣。古代ローマのプリニウスの伝えるところでは、
凶暴な野獣で体は馬、鹿の頭、象の足、猪の尾
牡牛のような啼声で、額の真ん中に1本の黒い角があり、末端で2股にわかれてつったっている、という。
より後代では、ユニコーンの角は薬になる、という伝承もある。[後述]
14、15世紀のヨーロッパでは純潔のシンボルである一角獣がキリストになぞらえて聖なる動物とされていたようだ。 1505年頃の ラファエロRaffaelloの「若い婦人の肖像(一角獣を抱く貴婦人)」の油彩画や、 「一角獣をつれた貴婦人(貴婦人と一角獣)」のタペストリーなどがある。
ヨーロッパではユニコーンの角アリコーンは万病に効くという伝承があり、王や貴族に珍重されていた。 江戸時代の日本にも伝わっており、新井白石が幼時に病気で死にそうになった時「ウニコール」という高貴薬を飲んで命を とりとめたと書き残している。 木村蒹葭堂(けんかどう)という本草学者が、このウニコールについて調べ、オランダ語の文献を訳して著した「一角纂考」には 「一角魚」として海棲動物であることが図入りで描かれ、現在のイッカク(イッカククジラ)だったことを突き止めた。
漢方薬では一角獣であるインドサイの角が、やはり薬となっているのもおもしろい符合である。
また瑞獣である麒麟
の特徴が一角というのも面白い。
「一本角」「一角」は、洋の東西問わず、他にも多くの幻想動物の特徴にあるが、
二本角がよくみられる普通の動物のもの、に対しての
特殊性になっているのだろうか。
参考資料
・
想像と幻想の不思議な世界 マイケル・ページ/ロバート・イングペン:著 教育社
関連項目一覧
一角獣 (大項目、中国、日本)
薬 (大項目)
ヘレネス(ギリシャ) (文化地域)
ヨーロッパ (文化地域)
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary