またはヴァンピール、ダンピール。この項目は東欧起源のヴァンアイアと近代以降の小説や映画などで 広まった吸血鬼的な魔物のイメージとあわせて扱う。
「吸血鬼」的な魔物は世界中の神話・伝説にみられる。蘇った死者の伝説、夜の精霊、 悪魔の類、吸血動物の類まで様々で あるが、「生命の源としての血」が吸われるというイメージが魔物の所業としてふさわしいのだろうか。
「吸血鬼」というのは非常な名訳と感じるが、これはブラム・ストーカーの有名な小説『ドラキュラ』
に対して使われたものだろうが、この元となったブラド公のいた東欧・スラヴの地は英語の
ヴァンパイアの語源
、ウーピールVampir, Vampyrなどの吸血鬼の伝承の宝庫である。
(「ウーピール」はモンタギューサマーズによるとスラヴ起源の
マジャール語だという)
またはスラヴ語ヴァンピルVampirを起源にする語がチェコ語、マジャール語、ポーランド語、ロシア語にあるという。
スラヴでは狼憑きとヴァンパイアは魔物伝承として強く結びついている。(ヴルコドラク参照)
様々な地域に様々な伝承があり、弱点、倒し方なども違う。詳しくは関連項目を参照。
吸血鬼伝説の近代の盛り上がりは、複合的にブラム・ストーカーの著作『ドラキュラ』に至っただろう。
ドラキュラ直前にもいくつか同様の作品がでていてドラキュラも影響を受けているふしがある。。
またフランスなどでは人狼伝説も多く、
あるいは1746年にはフランス人のベネディクト会修道士オーギュスタン・カルメが不思議な事件の
研究を出版した。
死者や吸血の魔物は伝統的に怪鳥や牙を持つ魔物が多かったようだが、新大陸発見後に吸血コウモリなどの
奇聞がコウモリとの関連を強めたようだ。
18世紀後半のスペインのロデュレが編纂した『奇談集』には「インド*の吸血鬼」というコウモリ型吸血鬼の
話が載っているという。*インドとはアメリカ大陸を指している
その後、世界の覇権は大英帝国に移った。ブリテン島では中世以前は狂犬病がなかったせいか狼憑きの
印象はうすかったのかもしれない。
余談だが、筆者が子供の頃、オンブバッタに似たバッタで捕まえると口から赤黒い液体をだすバッタを 「チスイバッタ」といって気味悪がった覚えがある。
参考資料
・
世界の怪物・神獣事典 (キャロル・ローズ著 原書房)
・
謎解き 少年少女世界の名作 (長山靖生 新潮新書)
他
他
関連項目一覧
【ドラキュラ的東欧・ヨーロッパの吸血鬼関連】
ヴァン・ヘルシング (小説:人物:吸血鬼退治)
サムカ (ルーマニア:吸血鬼)
シチシガ (ポルスカ[ポーランド]:吸血鬼)
ストリゴイイ (ルーマニア:吸血鬼)
ネラプシ (スロヴァキア:吸血鬼)
ノインテーター (ドイツ:吸血鬼)
ノスフェラトゥ (ルーマニア:吸血鬼)
ファット・フルモス大公 (ルーマニア:英雄:吸血鬼退治)
ブラド・ツェペッシュ (ルーマニア:英雄:吸血鬼)
ムロイ (ルーマニア:吸血鬼、不死者)
ムロニ (ルーマニア:吸血鬼)
ルヴナン (ヨーロッパ:歩く死者)
【その他の吸血する魔物】
ステワ・ルトゥ (ドュルック・ユル(ブータン):魔物)
ピグチェン (チリ:ドラゴン、竜チリ:ドラゴン、竜)
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary