人類の文明と同時に発生したであろう概念、儀式。考古学的な発掘では旧石器時代より痕跡がみられる。
様々な文化圏等で土葬、水葬、火葬、風葬、鳥葬、樹上葬など、多様な方法で行われる。
「死者と他界との関係を整えると同時に、それらと生者との関係を整える機能をあわせもつ」等と説明される。
葬儀の方法や儀式などには、その文化・文明社会での死や死後の世界観、宗教観などが大きく関係している。
多くの文化圏では古代から土葬、地下に葬る、ということが多かったようだ。
これが複雑化していくと、死体を収める甕や棺、墓所、墳墓など王権社会などになっていくと巨大な墓が作られたりした。
日本の沖縄の亀甲墓の独特な形は女性の子宮をあらわしているという。
また中国の一部地域で、切り立った崖の途中に遺体を安置することもある。
特殊な文化・歴史を経て、南米のチンチョーロ、古代エジプトなどでミイラでの埋葬、またシチリア島でも死体への保存処理を施すなどの特殊な埋葬がみられる。
火葬は古代でもみられた。インドではシャカ(仏陀ブッダ)は火葬であったと伝わる。
キリスト教が広まる前のローマ帝国でも火葬が行われていた。
現代では衛生的な理由で火葬にされる。キリスト教社会でも火葬化がみられる。
火葬のあと遺骨を骨壷で埋葬するのは、現代の日本の一般的な方法である。しかし土葬が普通であった時代の方が長い。
中国では、棺に石灰を大量に入れ、1度目の埋葬を行う。死後に使う紙幣や物品も用意される。
しばらく後、骨だけで再び埋葬する。故郷の地に埋葬することが強く望まれる考えがあった。
やや変わったところではチベットやゾロアスター教の鳥葬がある。
遺体は、決められた場所等で、スムーズに鳥葬されるため、あるていど切り分けられることもある。鳥葬用の塔(上部が開口部となっている)
があってそこで行われる等する。
他の生き物に食べさせる葬儀方法として、ヤノマミ族の赤子の「蟻葬」といえる行為がある。
水葬は、水辺や水上生活文化、または船乗りが洋上で葬儀を行う場合などで行われる。
樹上葬はシベリアの先住民族などでみられる。棺などが樹上に引き上げられ、半ば放置されたようにみえる状態となる。
風葬に近いといえるだろうか。
風葬も、鳥葬などと同じく、特別な場所において、風化するにまかせるというスタイルをとる。
なぜ、人が人の死を悼むのか、類人猿の行動から探る研究では、ゴリラに「亡くなった血縁関係の個体(の遺体)に長くつきそう」という行動が確認されているようだ。
他の見方では、人間の長寿、祖母・祖父といった世代との関わりが関係しているというものもある。
葬儀に際しては、シャーマン、聖職者など宗教的な職能者が関わって儀式が行われることが多い。
葬儀と異なるが人間は動物の死に対しても特別な儀礼を行う場合がある。これも狩猟生活の自然信仰や他の複雑化した思想など様々な要素で
行われる。
多くの場合でいえることは人間は「死」という物事に対して非常に特別な感情や思考を持つということである。
※随時追記
参考資料
・日本大百科全書(小学館)
参考資料
・天国と地獄の百科 ヴィジュアル版: 天使・悪魔・幻視者 (ジョルダーノ ベルティ著 原書房)
・天使辞典 (グスタフ・デイヴィットストン 創元社)
・旧約聖書外典(上)(下) (講談社文芸文庫) ※下巻の「エノク書」(エチオピア語訳エノク書[第一エノク書])は抄訳
他
関連項目一覧
死の国、冥界(天国・地獄、来世) 【大項目】
チュクチ 【葬儀の方法と死者との対話】
ヤノマミ 【蟻葬:死後の世界観】
シニガミ(死神) 【神:死】
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary