地震は人間の文明生活、生命を脅かす最大の災害のひとついえる。
2010年の最新の研究では、太陽・月の引力(潮汐力)が大地震をおこる直前の状態では影響があるとするものがある。
地域によって地震の頻度は差があるが、世界各地に地震の起源、由来を語る神話、伝説がみられる。
キリスト教のアルマゲドンでおこる災害に大地震がある。アトランティス伝説で島が滅びた大災害は 大地震と大津波のようだ。
日本で有名な地震とナマズ(鯰)の話は、「安政見聞誌」[安政2年(1855年)の地震の話 安政3(1856)年3月刊]に みられる篠崎某がナマズを釣って…という 話がもとだといわれることもあるようだが、他にも地震とナマズの絵などの瓦版・絵などもあったようだ。 よくわからない。
また海岸のある地域では、同時に津波の伝承もある。
地震が多いチリでは2010年の大地震の際、海岸地域で「地震がおきたら津波がくるから
高台へ逃げろ」という言い伝えがあったが、いかされなかった場合もあったという。
地を支えるまたは地下にすむ神的存在、巨人、怪物が原因とする物語が多く、
古代ギリシャ、ヨーロッパ、朝鮮、南北アメリカ世界でみられる。
またアジアから東ヨーロッパでは地下の動物、牛、亀、魚類の行動が原因とする伝説も多い。
世界各地の地震神話伝承
・北欧、ゲルマン
ロキ神が地下でつながれ毒蛇の毒液に苦しみ身をよじると地震がおきる。
→ロキ
・フィンランド 先住民族(サーミ?)
地震が起こるのは大地の下で、大地を支える死の国の老人の手が震えるから。
・古代ギリシャ(ヘレネス)
巨人エンケラドス、怪物テューポーンが島の下敷きなって倒され、地震や噴火は下敷きになってる巨人などのせい
→エンケラドス
・古代ギリシャ(ヘレネス)
エピクロス、デモクリトス、アナクサゴラス、アリストテレスなどの学者が地震発生のメカニズムに言及している。
・紀元AD1世紀ごろのローマ
地震はキリスト教徒のせいにされた
・北アメリカ ホピ民族
蛇神パロロコン 雷神、地震の神格もある。
→パロロコン
・北アメリカ
クジラが地震、津波おこす
海に棲むウンセギラという巨大な雌水蛇が大津波おこす(スー族)
・古代メキシコ
ウェマク 「強き手」の意で、この名に地震を司る神格がある。ケツァルコアトルの神格のひとつ。
→ケツァルコアトル
・メキシコ、マヤ民族のツォツィル語系インディオ
大地の4本または8本の支柱が揺れ動くと地震がおこる
・マヤ民族のチャムラ村
聖ミゲルが地を背負っている
・古代エジプト
大地の神ゲブの笑い、またはヌトと離れた悲しみ、が地震をおこすという。
・イスラム圏
牛が地を支え、その牛が身動きすると地震がおこる。
・アラブ人
しばしば地震をアラーの怒りとする
・古代シュメール
天の牛グアンナが嵐と地震をおこし7年間飢饉をおこすという
→グアンナ
・キリスト教
アルマゲドンの時は大地震があるという
悪魔学において、地震をおこす悪魔がみられる
・ブリヤート族(東北アジア)
魚、魚類
・ツングース族(東北アジア)
魚、魚類
・アルタイ・タタール(東北アジア)
魚、魚類
・クリム・タタール(東北アジア)
大地は巨大魚の背中に乗った水牛の上にあり、一方の角に移すとき地震がおこる
・モンゴル
地下の英雄神ゲシル・ボグドーが寝返りをうつと地震がおきる
→ゲシル・ボグドー
・インド
世界蛇、竜王(蛇王ナーガラージャ)のアナンタ(シェーシャ)が
あくびをすると、地震がおきるという。
アナンタは世界創造の神ヴィシュヌが横になって体をやすめる寝床でもある。
・中国
地震は古くから天意とされ意味を解読しようとした 王朝の交代などと関連付けて考えられることが多かった
・韓国
地下の巨人が動くと地震
・アイヌ
大地をのせている魚アイマスが暴れると地震
水を激しく吸ったり吐いたりすると津波になる
アイヌ語:シル・シモイエ
shir-simoye(大地-動き)
・日本
江戸期以降一般化したらしいが鯰(ナマズ)が暴れると地震がおきる。地震鯰。ナマズ絵などの影響が大きいと思われる。
「安政見聞誌」(1856年刊)には安政地震の前、篠崎某がナマズを3匹捕ったがやたらと騒ぐ。
鯰が騒ぐと地震があると聞くので、家財を庭にだしたの家は損じたが家財は無事だったという。
話がもとだといわれることもあるようだが、他にも地震とナマズの絵などの瓦版・絵などもあった
ようだ。よくわからない。
鹿島神宮(茨城県)には地下の金輪際から生えた要石(かなめいし)または御座の石(みましのいし)と
いうものがあり、神が鯰を押さえているという。
また琵琶湖の竹生(ちくぶ)島も金輪際から生えたといい、また大鯰が竹生島をとりまいているともいう。
日本 八丈島
達磨が頭の上に島をのせているが疲れると物をのせるためのわら製の輪をずらすため地震がおこる。
日本 阿波、徳島?
こなきじじい(児啼爺)が泣くと地震がおこる。
→こなきじじい(児啼爺)
・日本 沖縄諸島
大鰻(ウナギ)が暴れると地震
・日本 リュウグウノツカイ 現れると地震の前兆。
・沖縄 石垣島
大鰻を大蟹がはさみで挟むと地震
・日本 子供の名づけのおわらないうちに地震、雷があると子供によくないとか、 不祥事があるとか口がきけなくなるという伝承がある。
フィリピン ミンダナオ島 マンダヤ民族
大鰻を大蟹がはさみで挟むと地震の類話
ポリネシア、マオリ
大地の神パパの子供ルアウモコ神が地震のもとだという
→ルアウモコ
フィジー(ポリネシア、メラネシア)
蛇の姿の最高神、ンデンゲイ(デンゲイ)が洞窟で寝返りうつと地震
→ンデンゲイ
アフリカ東部タンザニア
地震や不妊、貧困、商売の失敗、飢えといった災厄は魔女のせいだという(農村地域)
参考資料
・
日本国語大辞典
・世界大百科事典(平凡社)
・日本大百科全書(小学館)
・キリスト教文化の常識(講談社現代新書)
他
関連項目一覧
アナンタ (インド:竜王,地震おこす)
スイエル (ユダヤ:地震を支配する天使)
リュウグウノツカイ(竜宮の使い) (日本:魚:地震の前兆)
アトランティス (ギリシャ:島:地震で滅んだ伝説)
アルマゲドン(ハルマゲドン) (キリスト教:伝承)
(C) 幻想世界神話辞典 - GENSO SEKAI Myth dictionary